新エンゼルプラン(読み)しんえんぜるぷらん

知恵蔵 「新エンゼルプラン」の解説

新エンゼルプラン

1999年12月19日に、大蔵文部・厚生・労働・建設自治の6大臣合意で策定された少子化対策の2004年度目標の実施計画の通称。「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画について」が正式名称。重点的に取り組む8つの目標は、「保育サービス等子育て支援サービスの充実」「仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備」「働き方についての固定的な性別役割分業や職場優先の企業風土是正」「母子保健医療体制の整備」「地域で子どもを育てる教育環境の整備」「子どもたちがのびのび育つ教育環境の実現」「教育に伴う経済的負担の軽減」「住まいづくりやまちづくりによる子育ての支援」。また数値目標も設定されている。すでに94年に、子育て支援施策の10か年基本計画案として発表された通称「エンゼルプラン」とその数値目標を盛り込んだ緊急保育対策等5か年事業を引き継いでいるため、新エンゼルプランと呼ばれている。89年の1.57ショックに始まる少子化への国の危機意識背景にあり、保育サービス分野だけでも、0〜2歳の低年齢児保育、保育時間延長・休日病児など多様な保育ニーズへの対応や専業主婦家庭も視野に入れた一時保育サービスの整備が掲げられている。男女共同での子育てを阻害する性別役割分業観や労働環境の伝統的な側面にまで言及しているのは画期的であるが、その実効性と具現化が課題である。

(中谷茂一 聖学院大学助教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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