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労働環境 ろうどうかんきょうlabour environment

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

労働環境
ろうどうかんきょう
labour environment

労働者が就業する職場の環境諸条件をさしていうが,広い意味では物的環境のほかに人間関係を含めることもある。作業環境についていうと,(1) 職場の温度,湿度,風速,放射熱などの条件による作業場気候,(2) 採光,照明,色彩,作業場に発生する粉塵,騒音,振動,有害放射線などを含む物理的環境,(3) ガス,蒸気,液体または固体のものによる有害物質などの化学的環境が問題にされている。こうした環境はしばしば生産技術上の要請から決定され,労働者の健康上の要請とは一致しないことが多いが,作業能率は労働者個人の能力や意思にかかわりなく労働環境によって大きく左右されるため,この労働環境の改善が要請され,労働安全衛生法の制定となった。同法第4章「労働者の危険又は健康障害を防止するための措置」で規定され,実施に関しては労働安全衛生規則で詳細な規定が設けられている。

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世界大百科事典 第2版の解説

ろうどうかんきょう【労働環境】

労働者の就業に際し労働者を包む周りの物理的,化学的,生物的な作業環境をいい,広義には作業衣,作業空間や使用される機械・工具,通路などの物的施設も含まれるが,ここでは狭義に解釈する。物理的条件には温度,湿度,気流,放射熱などの温熱条件,照度,眩輝(まぶしさ)の照明条件と色彩,粉塵(ふんじん),騒音,振動,異常気圧および赤外線,紫外線,レーザー光線などの光線や放射線がある。化学的条件にはフュームやミストなどのガス,固体,液体など状態を異にするが,鉛,水銀,クロム,マンガン,鉄などの金属類,トルエンキシレントリクロロエチレンをはじめ各種の有機溶剤,塩素などハロゲン類,酸やアルカリ類,二酸化硫黄過酸化窒素一酸化炭素などのガスと多種多様である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

労働環境
ろうどうかんきょう
working environment

狭義には労働者の就業する場所における直接的な環境諸条件をさし、作業環境や職場環境の語とほぼ同義に使われる。広義には職場の人間関係や通勤条件をも含めて用いられることもあるが、一般には狭義の作業環境の意で用いられることが多い。労働環境を構成する要因別にみると、大きく物理的要因(有害エネルギーが労働者の健康に作用するもの)と、化学的要因(有害物質の化学的性質が労働者の健康に影響を与えるもの)とに分けられる。物理的要因には、温度、湿度、放射熱、気圧、照明、騒音、超音波、局所振動、マイクロ波、レーザー光線、赤外線、紫外線、電離放射線などがあげられる。また化学的要因としては、塵肺(じんぱい)症をおこす鉱物性粉塵や、種々の産業中毒、皮膚障害をおこす有機溶剤、特定化学物質、重金属などがあげられるが、これらはガス、液体、固体の形で労働者の皮膚や呼吸器、口腔(こうくう)などの粘膜を介して体内に吸収される。
 労働環境が労働者の健康に及ぼす影響を考える際、次の事情が重視されなければならない。つまり、人類進化の長い歴史のなかで、産業革命期以降の短期間に、人類がこれまでに一度も経験したことのない異質な環境条件が労働環境として新たに立ち現れているということ、したがって、労働環境の有害さに対する生物としての順応はむずかしいということである。また働く者にとって労働環境は資本家から与えられた条件であって、たとえ有害な環境といえども、現実の労使関係のもとでは個人的によりよい環境を選択する自由はほとんどないといえる。それだけに、労働者の健康を保護するうえで労働環境のもつ意義は大きい。労働環境における危険有害因子が除去ないしは適切にコントロールされなければ、労働者の健康と安全に重大な影響を及ぼし、労働災害や職業病発生の直接・間接の原因となる。また、災害防止や疾病予防にとどまらず、より積極的に快適な労働環境を形成することは、労働者の生活の質を向上させるうえで重要である。労働環境の有害因子のなかには、人間の五感で感じ取れるものだけでなく、感覚的にとらえることのできないものも少なくない。また人間の感覚には容易に慣れが生じ、正確にとらえられないことも多い。したがって、労働環境改善の前提として正確な環境の測定と評価が必要である。
 関連法規としては労働安全衛生法(昭和47年法律57号)のほかに、じん肺法(昭和35年法律30号)、有機溶剤中毒予防規則、鉛中毒予防規則、特定化学物質等障害予防規則、事務所衛生基準規則、その他があり、また作業環境の測定機関や測定士の資格等を定めた作業環境測定法(昭和50年法律28号)もある。[重田博正]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

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