知恵蔵 「新たな農業経営指標」の解説
新たな農業経営指標
作成されたのは、(1)経営改善のためのチェックリスト、(2)経営データの記入フォーム、(3)指標による評価結果シートの3つ。(1)のチェックリストでは、経営管理や生産、販売・加工、財務などの6分野14項目の指標が示され、取り組み状況を3段階で評価するようになっている。(2)の記入フォームは、労働力、農地、生産・販売、財務のデータを記入することにより、現状と目標を数値で把握するためのものである。更に、これらの記入データに基づき、(3)の結果シートでは、取り組み指標、技術指標、財務指標の3つの観点から現在の経営状況の評価を行う。農業経営者自身がこれらの作業を通じて経営の現状を位置づけ、発展の方向性と目標達成への道筋を見いだすことが期待されており、幅広い農業者が利用できる比較的簡易な指標になっている。
グローバル化が進む中で、地域経済や食料供給の基盤となる農業を持続させるためには、既存の農業経営の底上げと次世代の農業経営者の育成が欠かせない。しかし、経営指導などに用いられる従来の指標は、生産面を中心に標準的な経営を想定して定められており、法人化や六次産業化など多様化する近年の農業経営には対応できなくなっていたことから、経営者能力や経営の状態を総合的に評価できる新しい指標の作成が求められていた。
(原田英美 ライター / 2012年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報