新井田川(読み)にいだがわ

日本歴史地名大系 「新井田川」の解説

新井田川
にいだがわ

岩手県九戸くのへ山形やまがた村と岩手郡葛巻くずまき町の境界にある平庭ひらにわ(一〇五九・八メートル)北麓に源を発し、北流して九戸郡軽米かるまい町の北部で流路をやや北東に向け、三戸さんのへ南郷なんごう村を貫流し、八戸市北東部から太平洋に注ぐ。全長約八二キロ。おもな支流に、軽米町北部で合流する雪谷ゆきや川、八戸市中央部で合流する松館まつだて川がある。通過市町村は岩手県では山形村・九戸村・軽米町、青森県では南郷村・八戸市の一市一町三村。源流より八戸市中央部までは山間地を通り、八戸市新井田付近より沖積平野を形づくる。八戸市南部の母袋子ほろこ付近の景勝鷹の巣たかのす渓流と称する。河口北西を流れる馬淵まべち川と合流していたが、昭和三一年(一九五六)同河川の改修工事完工により切離された。

正保四年(一六四七)の南部領内総絵図に「九戸川 歩行渡」とみえ、「此川荒磯ニテ舟不入」と記されている。八戸藩日記の寛文五年(一六六五)九月二九日条には「馬淵・新井田川留々より御運上鮭」とある。別名九戸川と称し、軽米町より上流では瀬月内せつきない川、河口のみなと付近では湊川とも称する。

〔水運〕

中流・上流地方に豊富な森林資源があり、諸材木の川流しに利用された。宝暦八年(一七五八)頃巻沢ころまきざわ市野沢いちのさわ(現南郷村)周辺の山地から春木が切出され、川流しされているが(「御勘定所日記」同年七月二〇日・二五日条)、春木は新井田橋の上下付近で引揚げられた。文政五年(一八二二)には上流から川流しされた法霊ほうりよう(現神社)普請の材木が新井田村と石手洗いしてあらい村の両土場に引揚げられ、ここより城下へ運搬されている(同日記同年正月一四日条)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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