八戸市(読み)ハチノヘシ

デジタル大辞泉 「八戸市」の意味・読み・例文・類語

はちのへ‐し【八戸市】

八戸

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日本歴史地名大系 「八戸市」の解説

八戸市
はちのへし

面積:二一四・四〇平方キロ

県の東南部に位置し、東は太平洋に面し、西は三戸さんのへ五戸ごのへ町・福地ふくち村、南は同郡南郷なんごう村・階上はしかみ町、北は上北郡百石ももいし町・下田しもだ町に接する。市の中央部西寄りを馬淵まべち川が北東流し、東寄りを新井田にいだ川が北流する。北部を五戸川、その北の上北郡境を奥入瀬おいらせ川が東流して、太平洋に注ぐ。中央部の馬淵川下流付近と馬淵川・新井田川の河口付近は沖積平野となっているが、その南・西・北の三方は丘陵台地となって市域の大半を覆う。

市街地は両河川の河口近くの沖積地とそれに続く台地に立地する。北東に八戸湾が開け、両河谷に沿う交通ルートの終着点であることとあいまって海陸交通の接点となっている。現在市街地の中央を東南から北西に国道四五号(旧浜街道)が縦貫し、市街地の西端から西南へ国道一〇四号(旧三戸街道)、南へ国道三四〇号(旧登り街道)、北へ主要地方道八戸―五戸線(旧五戸街道)および八戸―むつ線、市街地の南端からは八戸―大野線(旧久慈街道)、東端からは八戸港線が走る。

八戸市名は昭和四年(一九二九)の市制施行時に始まるが、八戸の地名は正安三年(一三〇一)のきぬ女家族書上案(新渡戸・岩大文書)に「八戸これかは」「八戸いわふち」などとみえる。

〔原始・古代〕

縄文時代を主体とする遺跡が沖積平野を取巻く台地周縁部に広く分布する。東部の海岸に面する台地縁に縄文時代早期の白浜しらはま遺跡、前期・中期の熊ノ林くまのばやし貝塚、中期の林通はやしどおり貝塚、弥生時代の蕪島かぶしま遺跡などがある。中央部の新井田川右岸の台地縁には幼児骨が出土した縄文時代前期末葉の蟹沢かにさわ遺跡、早期末葉の赤御堂あかみどう貝塚、左岸の沖積平野に面する地縁にはサケの骨が出土した早期の類家帽子屋敷るいけぼうしやしき貝塚などがある。南部の新井田川左岸の台地縁には配石遺構をもつ縄文時代中期の堀田ほつた遺跡、前期から中期にわたり、しかも中期を代表する優れた遺物が出土している一王寺いちおうじ遺跡、早期から晩期にわたり、とくに晩期を代表する遺跡として全国的に知られる中居なかい遺跡などがある。沢里さわさと川に臨む台地縁には弥生式土器の特色である沈線文様をもつ土器が出土した小峠ことうげ遺跡がある。北部の海岸に面する五戸川右岸の台地縁には早期の長七谷地ちようしちやち貝塚がある。

旧石器時代の遺跡は確認されていないが、旧石器に属する遺物が発見されており、この時代から人々の生活が始まっていたと考えられる。縄文時代になると中居遺跡のように優れた注口土器や香炉形土器、櫛や籃胎漆器、黒漆や朱漆を塗装した弓、朱漆で覆われた飾大刀などを出土した例もあり、晩期にはかなり成熟した文化が発達し、豊かで水準の高い生活が営まれていたと考えられる。


八戸市
はちのへし

2005年3月31日:八戸市が三戸郡南郷村を編入
【南郷村】青森県:三戸郡
【八戸市】青森県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「八戸市」の意味・わかりやすい解説

八戸〔市〕
はちのへ

青森県南東部,太平洋に臨む市。南部は岩手県に接する。1929年八戸町,小中野町,湊町の 3町と鮫村が合体して市制。1942年下長苗代村,1954年是川村,1955年市川村,館村,上長苗代村,豊崎村,1958年大館村の各村を編入。2005年南郷村を編入。鎌倉時代,甲斐の南部氏が牧場を経営,江戸時代には八戸藩城下町として発達。馬淵川の流路変更工事によって造成された工業港を中心にセメント,化学,製紙,特殊鋼などの工場が立地。1964年新産業都市の指定を受けた。三陸沖を主漁場とする水産業も盛んで,湊地区,鮫地区の漁港周辺で缶詰,干物などに加工される。南部の山地ではリンゴ,タバコ,ソバなどが栽培され,酪農も行なわれる。鮫漁港の東部にある陸繋島の蕪島は,ウミネコの繁殖地として国の天然記念物に指定。蕪島および国指定名勝の種差海岸は,三陸復興国立公園に属する。清水寺観音堂(せいすいじかんのうどう),櫛引八幡宮の本殿などが国の重要文化財に,豊年祈願の「えんぶり」(→田植踊)は国の重要無形民俗文化財に指定されている。また,八戸三社大祭の山車行事は国の重要無形民俗文化財であり,2016年に「山・鉾・屋台行事」の一つとして,国際連合教育科学文化機関 UNESCO世界無形遺産に登録された。国指定史跡の是川石器時代遺跡は 2021年に「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産として世界遺産の文化遺産に登録され,長七谷地貝塚(ちょうしちやちかいづか)も関連資産となった。国の史跡にはこのほか,丹後平古墳群(たんごたいこふんぐん),南部師行の築いた根城跡(ねじょうあと)がある。東北新幹線,JR八戸線,青い森鉄道線,国道45号線,104号線,340号線,454号線などが集中。1989年東北自動車道の安代―一戸間が開通,八戸までの八戸線が全線開通した。面積 305.56km2。人口 22万3415(2020)。

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