日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本再生医療学会」の意味・わかりやすい解説
日本再生医療学会
にほんさいせいいりょうがっかい
「革新的医療として再生医療を国民に安全に有効に迅速に届ける」ことを理念に掲げて2001年(平成13)5月に発足した学会。英語の名称はThe Japanese Society for Regenerative Medicineで、略称JSRM。前身は細胞療法研究会で、その後ほかの再生医療関連学会との統合などを経て、2009年には会員数が3000人を超える学会に成長し、2012年に一般社団法人となった。事務局は東京都文京区大塚。
これまで機能不全に陥った臓器は、臓器移植を行うか人工臓器をつくって取り替えるしか方法はなかった。しかし臓器移植には移植後の拒絶反応やドナーが足りないといった問題があり、また人工臓器も体に合わない、うまく働かないなどの問題を抱えていた。これに比べ再生医療は、ほかの動物の細胞を使ったハイブリッド型人工臓器の使用や、自分自身の幹細胞を利用して組織や臓器の再生を試みるなどの点で、安全性と有効性に期待がもてる。これまでも皮膚や骨および血管などの再生医療においては実用化に至る実績をあげてきたが、動物の細胞を利用した人工肝臓(バイオ人工臓器)の研究や、ES細胞(胚性幹細胞)、iPS細胞(人工多能性幹細胞)などの臨床応用研究により、あらゆる組織や臓器を再生できる可能性が現実のものとなりつつある。同学会では、日本政府のバイオテクノロジー関連研究開発事業に掲げる「生体適合材料の開発」などの目標実現に向けて、先端的独創的研究や人類の健康増進に貢献できる画期的な研究に取り組もうとしている。また、2014年には「臨床培養士」と「再生医療認定医」の認定制度を創設した。
[編集部]