旺文社日本史事典 三訂版 「日米新安全保障条約」の解説
日米新安全保障条約
にちべいしんあんぜんほしょうじょうやく
全10条。正式には「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」という。1951年に調印した旧安保条約は米駐留軍に日本防衛の義務がない片務的なもので,条約の有効期限は明示されていないという問題点をもっていた。新安保条約は日本の防衛力増強の義務をうたい,日米相互共同防衛の義務が明確にされた。また,交換公文で核兵器の持ち込みと領域外出動への基地使用は,日米両国の事前協議の対象とすることが決められた。期間は10年間とされたが,その後は現在まで自動延長されている。なお,安保条約の運用について,'97年に日米政府間で「日本有事」や「周辺事態」に対処するため「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)が合意された。最初の合意は'78年であったが,冷戦の終結によって戦略環境が変化したため,日米安保体制を「再定義」する必要が生じ,新しいガイドラインが策定された。改定された新ガイドラインでは「日本有事」に対処するために自衛隊と米軍が「共同作戦計画」を,「周辺事態」に対処するために日米両政府が「相互協力計画」の検討を平素から行うとしている。新ガイドラインでは,日米安保体制における日本の軍事分担が単に日本防衛のみならず,「周辺地域」における米軍の軍事行動に対する兵站 (へいたん) 支援,情報支援に拡大した。
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報