早吸日女神社(読み)はやすいひめじんじや

日本歴史地名大系 「早吸日女神社」の解説

早吸日女神社
はやすいひめじんじや

[現在地名]佐賀関町関

遠見とおみ山の西方鎮座祭神は八十枉津日神・大直日神・底筒男神・中筒男神・表筒男神・大地海原諸神。旧県社。中世にはせき宮・関権現・関六所権現などと称され(貞治三年二月日「大友氏時所領所職等注進状案」大友文書、天文一九年二月二一日「大友義鎮起請文」志賀文書)速吸はやすい社ともいった。由緒は神武天皇東征の途次、速吸瀬戸(豊予海峡)において海女の黒砂・真砂が奉献した剣を神体として、天皇自ら創祀したと伝える(佐賀関町史)。速吸日女神祠(豊後国志)は伊弉冊尊神が稚御子二女神に供奉されて「田刈穂浦」に鎮座し、速吸比神と称したという。「田刈穂浦」は古宮ふるみや太田おおたの地をさし、その後「曲浦清地」に遷座したが、これは和多わた浦佐加(須賀)のことであるという(豊後国志)佐賀関半島には築山つきやま古墳など四、五世紀の前方後円墳が集中しており、海部族の首長墓と考えられているが、早吸比(日女)神はこれら海部族によって奉斎されたものであろう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「早吸日女神社」の意味・わかりやすい解説

早吸日女神社
はやすいひめじんじゃ

大分県大分市大字佐賀関(さがのせき)に鎮座。愛媛県佐田岬との間の豊予海峡は記紀の神武(じんむ)東征の条に「速吸門(はやすいのと)」とよばれており、そこに天皇自ら祓戸神(はらえどのかみ)を祀(まつ)ったのが創祀(そうし)という。祭神は八十枉津日神(やそまがつひのかみ)、大直日(おおなおび)神、底筒男(そこつつのお)神、中筒男(なかつつのお)神、表筒男(うわつつのお)神、大地海原諸(おおとこうなばらもろもろ)神。式内社。佐賀関半島の先端部にあり、「お関様」「関権現(ごんげん)」と親しまれ、農業・漁業・航海守護の神として崇敬されている。旧県社。例祭日は7月29日。

[佐野和史]


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