映・写(読み)うつる

精選版 日本国語大辞典 「映・写」の意味・読み・例文・類語

うつ・る【映・写】

〘自ラ五(四)〙 (「移る」の意から転じたもの)
① 物の影や光などが他の物の上に現われる。映ずる。
(イ) 鏡、水、障子などに、姿や影が現われる。また、光が当たって照り輝く。
※土左(935頃)承平五年二月一一日「ある人このやなぎのかげの、川の底にうつれるを見てよめるうた」
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「壁に写った影法師が」
(ロ) 映画、スライドなどで、映像スクリーンに現われる。
たけくらべ(1895‐96)〈樋口一葉〉三「幻燈にしないか、幻燈に、〈略〉ああ夫(そ)れは面白からう、〈略〉序(ついで)にあの顔がうつると猶(なほ)おもしろい」
(ハ) ((イ)の比喩的用法) 人の目にはっきりと見える。また、人の心にある印象を与える。反映する。
※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三「恍惚(うっとり)とした顔に映る内の想(おもひ)が無いから、何を思ってゐることかすこしも解らないが」
星座(1922)〈有島武郎〉「おぬいさんには園(その)がどう映(ウツ)ったらうか」
物事のつり合い、色の配合などが、ぴったりする。よく似合う。しっくりする。
仮名草子・都風俗鑑(1681)三「見るからしほらしく、それぞれの芸にうつりたる口上
咄本・軽口大黒柱(1773)五「全体ゆうれいといふものは、ほっそり、すうわりと凄(すご)い程、器量がようなけにゃ、うつらぬ物じゃ」
③ (写) 写真で映像がうまく現われる。撮(と)れる。
雪中梅(1886)〈末広鉄腸〉上「彼(あ)の写真は仕舞(しまっ)て御座いますが、余りよく写って居らぬ」
④ (写) 下の文字や絵が、紙などを通してすけて見える。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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