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暖海性魚類 だんかいせいぎょるい

大辞林 第三版の解説

だんかいせいぎょるい【暖海性魚類】

年間を通じて水温の高い水域にすむ魚の総称。マグロ・カツオ・サンマ・トビウオ・マイワシ・ブリなど。暖流性魚類。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

暖海性魚類
だんかいせいぎょるい
warm water fish

熱帯や暖流の勢力が強い亜熱帯にすむ海水魚の総称暖流性魚類ともよばれ、寒海性魚類に対して用いる。熱帯魚は20℃以上、亜熱帯の暖海性魚類は16~17℃以上の水温で正常に成育して繁殖する。サンゴ礁魚類(コーラルフィッシュ)やカツオ・マグロ類などがその代表である。
 日本の沿海では、黒潮や対馬(つしま)暖流(海流)の影響が著しい本州南部、九州南西部、南西諸島に多く、暖海性魚類が全魚種の半分以上を占めている。とくに南西諸島の沿岸では、水温が一年中20~30℃でサンゴ礁が発達するので、大部分が暖海性魚類で占められている。
 暖海性魚類の多くは、季節によって水温が著しく変動しないので大きな回遊をしない。しかし、カツオ・マグロ類などは例外で、南北または東西方向に大きな回遊をする。これらの若魚は高温期に暖流にのって温帯の北部まで餌(えさ)を求めて回遊し、水温が18℃を下る降温期には越冬のため低緯度海域へ移動する。このような回遊を繰り返したのち、成熟しだすと亜熱帯や熱帯海域で産卵する。また、水温など環境条件が安定しているので、暖海性魚類では産卵期が相対的に長い。とくにカタクチイワシ、マアジ、シイラ、カツオ・マグロ類のように産卵期がほとんど周年にわたるものがある。また、卵は小形で直径1ミリメートルかそれ以下と小さく、受精後24時間前後で孵化(ふか)するものもある。南日本で孵化した暖海性魚類の稚仔魚(ちしぎょ)が、暖流にのって北に運ばれてしまうことがあるが、水温の低下によってそこに定住できないし、戻ることもできずに死んでしまうことから、この現象を死滅回遊という。暖海は外敵が多く、生存競争が激しいので、外敵の攻撃をかわす保護色や擬態現象が広く認められる。幅広い黒色の横帯または縦帯は体の輪郭を消す効果がある。目の上を走る黒色帯は、外敵に発見されやすい目の位置や輪郭をぼかすのに有効である。また目と同じ大きさの円い黒斑(こくはん)(眼状斑(がんじょうはん))が体の後部や側線上にあり、本当の目の位置を隠す魚類もある。さらに毒をもった動物または有利な共生動物の色合いや動作をまねるなど、いろいろなタイプの巧妙な擬態現象が、ツバメウオ、ゴイシウミヘビ、イトヒキクロスジギンポ、ノコギリハギ、ハタタテカサゴなど多くの種類で認められている。[落合 明・尼岡邦夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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