最小侵襲手術(読み)サイショウシンシュウシュジュツ(その他表記)minimally invasive surgery

日本大百科全書(ニッポニカ) 「最小侵襲手術」の意味・わかりやすい解説

最小侵襲手術
さいしょうしんしゅうしゅじゅつ
minimally invasive surgery

皮膚の切開だけでなく筋肉の切離など外科的侵襲を可能な限り抑え、患者の負担を軽くしようとする手術法。略称MIS。術中出血が抑えられるとともに、術後疼痛(とうつう)も軽減され、傷の修復も早まることから、リハビリテーションの開始や社会復帰を早めることができる。体への負担が少ない手術を一般に低侵襲手術とよび、皮膚を切開せずに体外から直接臓器に到達して行う内視鏡治療やカテーテル治療がその代表的なものである。

 最小侵襲手術という表現は、関節症や脊椎(せきつい)関連など整形外科領域の手術、とくに人工股(こ)関節手術や人工膝(しつ)関節手術などでよく用いられる。実際、これまでの人工股関節手術では皮膚を15~20センチメートル程度切開していたが、MISでは8~10センチメートルですむようになった。侵襲の少ない手術は、とくに体力的に劣る高齢者などにとって負担が少なく早期の術後回復も望める手術法であり、他領域でも導入が検討されている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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