百科事典マイペディア 「有機スズ化合物」の意味・わかりやすい解説 有機スズ(錫)化合物【ゆうきすずかごうぶつ】 海草やフジツボの付着を防ぐために船底や漁網,養殖いけすの網に塗られたトリブチルスズ(TBT)やトリフェニルスズ(TPT)などのスズの有機化合物。有機スズ化合物は防汚剤としての効果が大きいといわれ,広く使われてきた。しかし有機スズには白血球の減少や神経障害,成長阻害などを引き起こす毒性がある。1980年代に日本で,養殖ハマチの背中が曲がるのはトリブチルスズ化合物(TBTO)を使うためではないかという議論が起こり,1987年に全国漁業協同組合連合会と全国かん水養魚協会はTBTOの使用禁止を決定。有機スズ化合物を用いた船底塗料は世界的に規制される傾向にあり,日本でも1989年にTBTOを化学物質審査規制法の第1種特定化学物質に指定,TBTとTPTを第2種特定化学物質に指定した。→関連項目船底塗料 出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報 Sponserd by
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「有機スズ化合物」の意味・わかりやすい解説 有機スズ化合物ゆうきスズかごうぶつorganotin compounds 炭素に結合したスズを含む有機化合物。多くの種類があり,樹脂の安定剤や触媒,防腐剤などさまざまな用途に使用される。たとえばトリブチルスズオキサイド TBTOやトリブチルスズ TBT,トリフェニルスズ TPTなどは,貝類や海藻の付着を防ぐため,船底塗料や漁網防汚剤に使われていた。しかし 1980年代に海洋生物への悪影響が国際的な問題となり,船底への使用が禁止された。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by