木津用水(読み)こつつようすい

日本歴史地名大系 「木津用水」の解説

木津用水
こつつようすい

現在は、宮田みやた用水・岐阜県羽島はじま用水とともに犬山市に設置された取水施設を共同利用し、木曾川から水を引いて、名古屋・一宮春日井小牧・犬山・江南・岩倉諸市と西春日井・丹羽両郡にわたる約七千ヘクタールを灌漑する。木津用水土地改良区は昭和三一年(一九五六)以降、宮田用水土地改良区とともに濃尾用水土地改良区連合を形成している。

用水の開設は、寛永一〇年(一六三三)入鹿いるか池を築造して入鹿用水を開いたのに続く尾張藩新田開発政策によるものであった。入鹿池築造願主として入鹿六人衆とよばれたうちの春日井郡小牧村の江崎善左衛門・、村中むらなか村の丹羽又兵衛、河内屋かわちや新田の船橋仁左衛門および六人衆のうちの子の上末かみずえ村落合小八郎・同村鈴木久三郎(いずれも現小牧市)出願を藩が許可し、慶安元年(一六四八)丹羽郡木津村(現犬山市)で木曾川に杁を設け、一里四町四四間(約四・五キロ)を掘割って合瀬あいせ川に合流する水路が同三年にできた。古木津ふるこつつ用水である。ただし合瀬川は木津川郷瀬ごうせ川とよばれたこともあり、五条ごじよう(幼川)とともに丹羽郡東北部一帯の排水路でもあったが、久地野くじの(現西春日井郡師勝町)大山おおやま(のち新川)に入るまで二里三二町二七間(約一一キロ)も木津用水幹線に属し、ときにはこの部分が古木津井筋とよばれた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の木津用水の言及

【尾張国】より

… 尾張平野内の木曾川分流支川を締め切って本流一本に固定しはんらんを防止する大築堤工事が1610年に完成。この間に木曾川の分流を利用して宮田用水が作られ,同じく木曾川から取水する木津(こつつ)用水が48年(慶安1)から,入鹿池を築造して入鹿用水が33年(寛永10)に作られて平野内の用水路はほぼ完成。17世紀前半に安定した大水田地帯ができあがった。…

※「木津用水」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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