愛知県北西部、名古屋市の北方にある市。1955年(昭和30)小牧町と味岡(あじおか)、篠岡(しのおか)の2村が合併して市制施行。大部分濃尾(のうび)平野の平坦(へいたん)地で占められ、東部のみ尾張(おわり)丘陵に属している。名古屋鉄道小牧線が通じ、道路は国道41号、155号のほか、名神・東名高速道路の起終点となる小牧インターチェンジがあり、中央自動車道の分岐点(小牧ジャンクション)もあり、さらに2001年(平成13)には名古屋高速道路小牧線が開通している。また県営名古屋空港(豊山(とよやま)町、春日井(かすがい)市にまたがる)の所在地。市街地は犬山街道の旧宿場から発展したもので、太平洋戦争中に陸軍飛行場が建設された。村中(むらなか)地区に小牧インターチェンジができてからコンテナ基地や倉庫群ができ、遠距離輸送基地となり、一方、名古屋市から進出した機械・ゴム工場などが群立して内陸型工業都市となった。小牧山(国指定史跡)は孤立丘(86メートル)で戦国時代の古戦場。山頂には京都の飛雲閣(ひうんかく)を模した歴史館(小牧城)がそびえ、空堀や土塁の跡が保存されている。また、北東部にある大山廃寺跡も国指定史跡。県指定の文化財は高根(たかね)遺跡、清流亭のフジなど。田県(たがた)神社の豊年祭は奇祭として知られる。面積62.81平方キロメートル、人口14万8831(2020)。
[伊藤郷平]
『『小牧市史』5冊(1975~1982・小牧市)』
愛知県北西部の市。1955年市制,63年北里村の一部を編入。人口14万7132(2010)。名古屋市の衛星都市で,犬山市の南に位置する。織田井戸,総濠の縄文遺跡,小木古墳群,宇都宮古墳,篠岡古窯跡群など原始~古代の遺跡が豊富で,中世には味岡荘に属し,1584年(天正12)には豊臣秀吉と徳川家康の小牧・長久手の戦の舞台になった。近世には,中山道に通じる木曾街道の宿駅,市場町として栄えたが,明治になって鉄道路線からはずれ町勢は停滞した。第2次世界大戦後名古屋空港が開設され(2005年に中部国際空港が開港したことにともない,名古屋飛行場となった),また名神高速道(1965全通),東名高速道(1969全通),中央自動車道(1972年小牧~多治見間開通)が相次いで開通し,交通都市としての性格が強まった。インターチェンジ付近にコンテナ基地,トラックターミナル,倉庫群ができ,機械,ゴム,窯業,繊維などの工場も進出している。名鉄小牧線が通じ,名古屋市との連絡がよいため住宅地化も進んでいる。斜陽化しつつある農業の中では養鶏,養豚,果樹栽培に力が入れられ,特にサボテンは全国でも有数の特産地になっている。毎年3月15日に行われる田県神社の豊年祭は奇祭として有名。
執筆者:溝口 常俊
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