うら‐が・れる【末枯】
〘自ラ下一〙
うらが・る 〘自ラ下二〙 (「うら」は「すえ」の意)
※歌仙本人麿集(11C前か)下「我せこを我が恋をれば我宿の草さへ思ひうら枯に鳧(けり)」
※
太平記(14C後)二「
岡辺の真葛裏枯
(ウラカレ)て、物かなしき夕暮に」
② 声がかれる。かすれる。
※
浮世草子・
西鶴織留(1694)六「こはつきも舌ばやにうらがれ、かくもいやしく成物かな」
※
夜行巡査(1895)〈泉鏡花〉二「泣出す声も
疲労のために裏涸
(ウラカ)れたり」
③ うらぶれる。うらぶれてわびしいさまである。
うら‐がれ【末枯】
① 草木の先の方が枯れること。《季・秋》
※
万葉(8C後)一四・三四三六「しらとほふ小新田山
(をにひたやま)の守る山の宇良賀礼
(ウラガレ)せなな
常葉(とこは)にもがも」
② うらぶれていること。わびしい様子。
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デジタル大辞泉
「末枯」の意味・読み・例文・類語
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末枯
うらがれ
久保田万太郎の短編小説。1917年(大正6)8月『新小説』に発表。19年新潮社刊の作品集『恋の日』に収録。事業に失敗して寂しい隠遁(いんとん)生活を送る「鈴むらさん」を中心に、盲目の噺家(はなしか)せん枝を配し、時代の波に押し流された「末枯」のようなはかない下町の人たちの生活を、万太郎独自の哀感あふれる下町ことばで描き出した佳作。慶応義塾大学卒業後、一時文学的にも生活的にも行き詰まりをきたしていた万太郎にとって、これは自己の文学を確立した画期的作品であり、初期の代表作となった。続編に『老犬(ろうけん)』(1918。のちに『続末枯』と改題)がある。
[柳沢孝子]
『『久保田万太郎全集1』(1968・中央公論社)』
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