久保田万太郎の短編小説。1917年(大正6)8月『新小説』に発表。19年新潮社刊の作品集『恋の日』に収録。事業に失敗して寂しい隠遁(いんとん)生活を送る「鈴むらさん」を中心に、盲目の噺家(はなしか)せん枝を配し、時代の波に押し流された「末枯」のようなはかない下町の人たちの生活を、万太郎独自の哀感あふれる下町ことばで描き出した佳作。慶応義塾大学卒業後、一時文学的にも生活的にも行き詰まりをきたしていた万太郎にとって、これは自己の文学を確立した画期的作品であり、初期の代表作となった。続編に『老犬(ろうけん)』(1918。のちに『続末枯』と改題)がある。
[柳沢孝子]
『『久保田万太郎全集1』(1968・中央公論社)』
1 イソオウギガニ科のカニ。浅海にすみ、甲は丸みのある四角形で、甲幅13センチくらい。全体に黄褐色。甲の縁と脚に太いとげが多数ある。本州中部以南に産し、食用。2 ズワイガニの別名。鳥取・島根地方でいう...