東通原発(読み)ひがしどおりげんぱつ

百科事典マイペディア 「東通原発」の意味・わかりやすい解説

東通原発【ひがしどおりげんぱつ】

東北電力東京電力の2社が敷地を保有する原子力発電所東通原子力発電所。青森県下北郡東通村。東北電力所有の原発は1号機沸騰水型軽水炉,2005年運転開始,2号機は改良型沸騰水型軽水炉で計画中である。東京電力所有の原発は,1号機は改良型沸騰水型軽水炉,2017年運転開始予定で建設中,2号機は改良型沸騰水型軽水炉で計画中である。2011年3月の福島第一原発事故を受け,東京電力は建設中の1号機について津波対策の強化と非常用発電機増設と大容量化の検討を発表した。2011年の青森県知事選では,原子力発電は争点化せず,三村伸吾知事が三選を果たしている。2013年7月に施行された原子力規制委員会の新規制基準では,過酷事故対策,地震津波対策等で厳しい安全対策を求めているが,東京電力は東通原発を2015年7月に稼働させるべく工事を急ぐ方針。しかし,東通原発の敷地内の活断層を調査した地震学者が活断層の存在を一致して指摘しており,新規制基準は活断層の真上にある原発は稼働を認めない方針である。2013年には東通原発敷地内断層をめぐって原子力規制委員会は3回の現地調査を行い,東北電力に説明を求めたが,東北電力は活断層ではない,と主張,原子力規制委員会の専門家会合で委員会は東北電力に対し,根拠となるデータを追加して出すよう求めた。2014年3月の会合でも専門家らは主な断層のうち1本については,従来通り活断層の可能性は否定できないとの見方で一致。重要施設を横切る断層について議論を深めるにはなおデータが不足しているとして,原子力規制庁は,掘削した地層試料などをさらに提出するよう求めた。原子力規制委員会には〈一年前と何にも変わっていない〉と東北電力の姿勢苦言を呈する専門家もおり,議論は平行線をたどった。原子力規制委員会の有識者会合は12月,敷地内にある断層について,活断層であることを否定できないとする報告書案をまとめた。活断層ではないとする東北電力の主張は〈十分なデータが示されていない〉とした。活断層の可能性を否定しきれなかったことで,再稼働に向けた審査が長期化する可能性がある。
→関連項目東通[村]

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

知恵蔵mini 「東通原発」の解説

東通原発

青森県下北郡東通村にある東北電力と東京電力の原子力発電所。東北電力は2005年に原子炉1号機の運転を開始。11年3月の東日本大震災発生時は定期検査中のため運転しておらず、大きな影響は受けなかった。しかし、その後の原子力規制委員会の調査で敷地内に活断層がある可能性が浮上。13年2月、同委員会の有識者会合で「活断層である可能性が高い」と認定されたことから、1号機の稼働停止は長期化する見通しで、計画段階にある2号機の建設も先行きが不透明となっている。一方、東京電力は11年1月に1号機の建設を開始したが、その後、福島第一原子力発電所事故の影響により工事を中断。2号機の建設計画もストップし、13年2月現在、いずれも再開の見通しは立っていない。

(2013-2-20)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

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