六訂版 家庭医学大全科 「梅毒の合併」の解説
梅毒の合併
ばいどくのがっぺい
Syphilis during pregnancy
(女性の病気と妊娠・出産)
検査と診断
妊婦健診では通常、初期にSTS(梅毒血清反応の一種)のうち、ガラス板法・RPR法のいずれかが行われます。STSは妊娠、
陰性であれば梅毒ではなく生物学的
治療の方法
ペニシリン(アンピシリン、アモキシリンなど)の内服4週間を1コースとして治療します。ペニシリンが使用できない妊婦には、アセチルスピラマイシンを妊娠中期以降安全な時期に使用します。
治療効果判定は、STSを定量して抗体価の低下を目安とし、抗体価が低下または陰性化すれば治癒と判定されますが、TPHA抗体価は治療効果の指標とはなりません。分画TPHA(IgMTPHA)は、病原菌である梅毒トレポネーマの活動性の正確な指標となる検査で、これが陰性であれば梅毒は治癒したと判断されます。
梅毒の母子感染
母子感染は梅毒トレポネーマの経胎盤感染が主で、妊娠に与える影響としては流早産、子宮内胎児死亡、子宮内胎児発育不全などがあります。出生児への影響としては、早発性と遅発性のものがあります。早発性先天梅毒は生後数週から2、3カ月で発症し、骨病変(
出生時に
先天感染が診断されれば、ペニシリンによる治療を開始します。
小島 俊行
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報