ゴム腫(読み)ゴムしゅ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴム腫」の意味・わかりやすい解説

ゴム腫
ゴムしゅ
gumma

第3期梅毒後期に発生する特有の症状の一つで,ゴムのような弾性をもつ腫瘍皮膚をはじめ肝臓,睾丸,大動脈などにできる。大きさはいろいろあるが,一つにまとまる傾向があり,皮膚の場合,鶏卵大以上になることもある。境界ははっきりしている。現在ではごくまれにしかみられない。組織学上は,中央の壊死部は顆粒状無構造の物質から成り,これを取巻いて線維芽細胞リンパ球,形質細胞および組織球から成る特異な肉芽組織が増殖する。結核でもまれに類似肉芽腫 (結核性ゴム腫 tuberculous gumma) ができることがあるが,線維性の瘢痕化の傾向があるので識別しやすい。治療は駆梅療法による。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴム腫」の意味・わかりやすい解説

ゴム腫
ごむしゅ

梅毒の第3期の症状である。顔のほか鎖骨胸骨および各関節周囲の皮膚に、鶏卵くらいの大きさで、ゴムのような硬さのしこりが出現してくる。このしこりは崩壊して深い潰瘍(かいよう)となり、表面は肉芽組織によって覆われる。

[岡本昭二]

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