ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「梅澤濱夫」の意味・わかりやすい解説
梅澤濱夫
うめざわはまお
[没]1986.12.25. 東京
微生物化学者。 1937年東京大学医学部卒業。習志野陸軍病院勤務の後,東大助手,助教授,厚生技官などを経て国立予防衛生研究所 (現在の国立感染症研究所 ) に入所,47~78年抗生物質部長。 54~75年東大応用微生物研究所教授,77年同名誉教授を歴任。 72年には微生物化学研究所を設立し,所長をつとめた。第2次世界大戦中の 44年,藪田貞治郎とともに国内の土壌から採取したアオカビからペニシリン (碧素) の抽出に成功したのをきっかけに,各種土壌菌を探索・培養,ザルコマイシン (1953年) ,カナマイシン (55年) など数多くの抗生物質の分離・精製に成功。とりわけカナマイシンは強い抗菌性を持っていたことから,世界中から注目された。引き続き抗癌剤のブレオマイシンなど多くの抗生物質を発見しこの分野を率いるとともに,耐性菌産生の仕組みの研究にも力を入れた。 58年に朝日賞,62年に学士院賞を受賞,同年文化勲章を受章。 80年エーリッヒ賞,83年法王庁科学アカデミー会員。
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