棲雲寺(読み)せいうんじ

日本歴史地名大系 「棲雲寺」の解説

棲雲寺
せいうんじ

[現在地名]大和村木賊

田野たのの集落から川に沿って四・六キロ上流の標高約一〇五〇メートルの所にある。天目山と号し、臨済宗建長寺派。天目山護国ごこく禅寺ともいい、栖雲寺とも記される。本尊釈迦如来。元禄七年(一六九四)の天目山栖雲寺略記(寺記)によると、貞和四年(一三四八)に業海本浄により創建された。境内庭園にある地蔵菩薩磨崖仏に「貞和四年戊子開茲山建精舎」と薬研彫で二行に記されている。業海本浄は文保二年(一三一八)に古先印元・明叟斉哲無隠元晦・復庵宗己・遠渓祖雄ら六人の青年僧とともに元に渡り、天目山幻住げんちゆう庵の中峰明本(普応国師、幻住派の祖)に参じ印可を受け、嘉暦元年(一三二六)に帰国した。業海は明本の峻厳な禅風を広めるため諸国を二〇余年にわたって巡る間に、甲州木賊とくさ山中が杭州天目山に酷似した景勝地であることから一宇建立、天目山と称した。同門の遠渓祖雄が開いた丹波高源こうげん(現兵庫県青垣町)を西天目というのに対し、当寺は東天目とも称された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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