楠昔噺(読み)くすのきむかしばなし

精選版 日本国語大辞典 「楠昔噺」の意味・読み・例文・類語

くすのきむかしばなし【楠昔噺】

浄瑠璃時代物。五段。並木千柳三好松洛竹田小出雲(二世竹田出雲)合作。延享三年(一七四六大坂竹本座初演。「太平記」の楠正成宇都宮公綱対立藤原藤房活動などを題材として、五段を五節供になぞらえた脚色。三段目が「どんぶりこ」と呼ばれ有名。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「楠昔噺」の意味・わかりやすい解説

楠昔噺
くすのきむかしばなし

浄瑠璃義太夫節(じょうるりぎだゆうぶし)。時代物。5段。並木千柳(せんりゅう)・三好松洛(しょうらく)・竹田小出雲(こいずも)合作。1746年(延享3)1月、大坂・竹本座初演。『太平記』に取材、後醍醐(ごだいご)天皇に味方する楠木正成(くすのきまさしげ)と六波羅(ろくはら)方の宇都宮公綱(うつのみやきんつな)の争いを中心に描いた作。三段目が「昔噺(むかしばなし)どんぶりこ」の通称で知られ、歌舞伎(かぶき)でもまれに上演される。

 桃太郎の昔噺そのままに生活する老人徳太夫夫婦は、徳太夫の先妻の子が公綱、ばばの連れ子の婿が正成なので、互いに自慢しあうが、2人が敵対していると知り、その和解を望んで自決する。正成は公綱との戦いのすえ、説得して味方に引き入れる。前半だけを舞踊劇にして上演したこともあった。

[松井俊諭]

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「楠昔噺」の解説

楠昔噺
くすのき むかしばなし

歌舞伎・浄瑠璃の外題
作者
並木千柳 ほか
補作者
市岡和七 ほか
初演
元文4.7(大坂・中村十蔵座)

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