舞踊劇(読み)ブヨウゲキ

デジタル大辞泉 「舞踊劇」の意味・読み・例文・類語

ぶよう‐げき【舞踊劇】

舞踊中心に構成された劇。バレエ歌舞伎所作事など。

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精選版 日本国語大辞典 「舞踊劇」の意味・読み・例文・類語

ぶよう‐げき【舞踊劇】

  1. 〘 名詞 〙 舞踊によって組み立てられた劇。歌舞伎では所作(しょさごと)の類。
    1. [初出の実例]「来月出す新作の舞踊劇の、清元の作曲のことを」(出典:女方(1957)〈三島由紀夫〉三)

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改訂新版 世界大百科事典 「舞踊劇」の意味・わかりやすい解説

舞踊劇 (ぶようげき)

〈しぐさ(科)〉と〈せりふ(白)〉を中心としたいわゆる〈科白劇(かはくげき)〉に対し,舞踊を主要素として仕組んだ劇のこと。歌舞伎風の呼名でいえば,〈所作事(しよさごと)〉〈振事劇(ふりごとげき)〉がこれにあたる。舞踊により単なる場面や情景を舞台上に示すだけでなく,それらの有機的な連関によって,なんらかのストーリーを構成するものをいう。舞踊を主体とする以上,当然,歌謡,音楽を伴うのを普通とする。また一口に舞踊といっても,写実的な動作の模倣を含むものから,抽象的・律動的な運動に終始するものまで,いろいろな種類の形態がある。したがって数多い舞踊劇もまた,この両者がどんな関連の仕方をするかで,それぞれ特色ある構造を示す。ヨーロッパでも東洋でも,舞踊劇は古い歴史をもつが,日本の場合,全体として身ぶり的要素が強く,歌謡を伴うものが多い。ヨーロッパでは,バレエにその好例を見るように,運動的舞踊を中心に歌謡をもたぬものが主流である。前者の具体的例として,古く神楽かぐら)や舞楽も舞踊劇の一種であり,能もその性格を備え,とくに江戸時代初期のお国歌舞伎若衆歌舞伎は単純な舞踊劇であった。以後完成した野郎歌舞伎においても,舞踊は音曲とともにその根本要素となり,純粋な所作物はもちろん,科白を主とする普通の劇においても,舞踊的・様式的演技随所に見られる。歌舞伎俳優が同時に舞踊の名手である場合の多いことは,この間の事情をよく物語る。

 明治になり,坪内逍遥新楽劇論(《新楽劇論》)を提唱して新しい舞踊劇を試作し,大正末期以降は,A.パブロワはじめ多くの海外舞踊家が来日し,新舞踊劇はこれらを契機に急速な発展をみた。ヨーロッパでは,バレエがあらゆる舞踊劇を集大成した観があり,これは詞章の助けをかりず,踊り手の肉体そのものを表現素材の中心とする点,きわだった特色を見せるものである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「舞踊劇」の意味・わかりやすい解説

舞踊劇
ぶようげき

舞踊を基調として物語が展開する劇。歌舞伎舞踊バレエだけでなく世界各地に伝わる民俗舞踊民族舞踊には,それぞれニュアンスこそ違え舞踊劇といえるものがある。歌舞伎舞踊では変化物などを除き,『京鹿子娘道成寺』などはすべて物語の進行を伴って舞踊が存在し,また明治以後の新舞踊は一貫した物語の展開を特徴としている。バレエが首尾一貫したドラマから構成されるようになったのは,18世紀の J.ノベールの改革によるが,20世紀初頭 M.フォーキンの5章から成る改革案によって,さらに劇的な部分と舞踊的な部分が緊密に結びつくようになった。

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