楽天グループ(株)(読み)らくてんぐるーぷ(英語表記)rakuten group

日本大百科全書(ニッポニカ) 「楽天グループ(株)」の意味・わかりやすい解説

楽天グループ(株)
らくてんぐるーぷ
rakuten group

社名に楽天を冠した、電子商取引、携帯電話、金融、ポイント事業などを展開する企業グループの中核企業。代表取締役会長兼社長の三木谷浩史(みきたにひろし)が1997年(平成9)に(株)エム・ディー・エムとして創業。1999年に楽天への社名変更を経て、グループ経営を強化するため2021年(令和3)に現社名に変更した。ネットビジネスの多くがアメリカで誕生するなか、ネット上の仮想商店街に出店企業を募るという独自ビジネスモデルで創業し、わずか10年あまりで、ネット通販、旅行予約、書籍・医薬品通販という電子商取引から銀行、証券信託、保険、クレジットカード決済といった金融、携帯電話事業までを提供する一大企業グループとなった。プロ野球球団の東北楽天ゴールデンイーグルスやサッカーJリーグのヴィッセル神戸なども経営する。

 日本興業銀行出身の三木谷が仮想商店街「楽天市場」をネット上に開設し、出店企業を募るモール型ネット通販で急成長した。2000年(平成12)に店頭市場に株式公開し、2013年に東証一部に昇格(2022年よりプライム市場移行)。上場資金を元に、ポータルサイトのインフォシーク日本法人(現、infoseek)、旅行サイトのマイトリップ・ネット(現、予約サイト「楽天トラベル」)、DLJディレクトSFG証券(現、楽天証券)、あおぞらカード(現、楽天カード)、イーバンク銀行(現、楽天銀行)などを次々と買収合併。2014年にはRポイントカード(現、楽天ポイント)の名称でポイント事業を始め、電子商取引とカード決済やポイント付与を組み合わせて顧客(楽天会員、1億人超)を囲い込む戦略で事業を拡大した。2018年から、自前で通信回線を整備する携帯電話事業に参入し、ネットと携帯電話のシナジー効果をめざしているが、基地局整備などに兆円単位の投資がかさんで赤字経営に陥り、2021年に日本郵政と業務・資本提携したほか、中国のテンセント子会社やアメリカのウォルマートなどの出資を受け入れた。本社は東京都世田谷区玉川。2020年末時点で、資本金2059億円、連結売上高1兆4555億円、連結最終損益は1141億円の赤字である。従業員2万3841人。

[矢野 武 2021年7月16日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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