ウォルマート(読み)うぉるまーと(英語表記)Walmart Inc.

共同通信ニュース用語解説 「ウォルマート」の解説

ウォルマート

1962年にサム・ウォルトン氏が米国で1号店を開店。期間限定の特売ではなく、一定低価格を維持する戦略で、店舗網を広げた。北米に加え、南米アジアアフリカなどで1万1700店舗以上を展開し、従業員は約230万人に上る。最近は米インターネット通販アマゾンコムに対抗するため、ネット通販を強化。2018年1月期決算の売上高は5003億ドル(約56兆円)。(ニューヨーク共同)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウォルマート」の意味・わかりやすい解説

ウォルマート
うぉるまーと
Walmart Inc.

アメリカのスーパーマーケットで、世界最大の小売企業。1962年、サミュエル・ウォルトンSamuel M. Walton(1918―1992)がアーカンソー州ロジャーズにディスカウント店1号店を創業したのが始まりである。「エブリデイ・ロープライス(EDLP、毎日低価格)」を掲げ、大量出店・大量仕入れ・大量販売によって高い商品回転率を実現し、低価格でも高収益をあげるビジネスモデルで急成長を遂げた。アメリカ誌『フォーチュン』の企業番付「Fortune Global 500」では、2018年まで5年連続で世界の民間企業で売上高1位。本社はアーカンソー州ベントンビル。最近は小売分野でもアマゾンなどのインターネット企業の台頭が著しく、そうした動きに対抗するため1969年以来続けてきたウォルマート・ストアーズ社名から2018年2月に「ストアーズ」を削除。実店舗だけでなく、ネット上の仮想店舗を組み合わせて多様な商品・サービスを提供している。

 売場面積1万平方メートルを超える超大型店スーパーセンターから、ディスカウント店、食品スーパー、会員制低価格倉庫型店「サムズクラブ」まで多様な店舗を運営。ITを活用した在庫管理、国際的な物流網の整備などには定評がある。売上高で1993年に全米1位の小売業者となり、2002年には世界最大の企業となった。安売り攻勢で地方の零細小売店を駆逐した後、採算悪化を理由にその地方から撤退する手法は買い物難民を生む「焼畑商業」と批判されたこともある。ネット企業の台頭を受け、大量出店で規模の経済を追求する経営戦略を転換。新規出店を抑制(2019年1月期は25店と過去20年で最少)する一方、電子商取引へ経営の軸足を移している。2016年のネット通販「ジェット・ドット・コム」買収を機に、靴の「シューバイ」、アウトドア用品の「ムースジョー」、婦人服の「モドクロス」などネット系企業を相次いで買収。オンライン決済の「ウォルマート・ペイ」などスマートフォン(スマホ)のアプリ機能を次々に拡充し、ネットで注文した商品をウォルマートの実店舗や駐車場で渡すサービスを提供するなどオムニチャネル路線を推進している。海外では1991年のメキシコを皮切りにカナダ、ブラジル、中国、南アフリカ共和国などピーク時に世界約30か国へ進出した。しかし先進国市場の成熟と新興国の急成長にあわせ、ドイツ、韓国、イギリスから撤退し、2018年には日本(2002年、西友へ出資)からの撤退が報じられた。一方、中国市場(ネット通販「京東集団」に出資)、インド市場(ネット通販「フリップカート」を買収)などの開拓に注力し、海外市場の選別を強めている。2018年1月期の売上高約5003億ドル、総店舗数約1万1200、総従業員数約230万人。

[矢野 武 2019年1月21日]

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