日本大百科全書(ニッポニカ) 「榊山潤」の意味・わかりやすい解説
榊山潤
さかきやまじゅん
(1900―1980)
小説家。横浜市生まれ。生家の没落による放浪生活を経て時事新報社に入り、のち退社して小説に専念する。とくに長編小説『歴史』(1938~40。戦後にも続編)は、明治維新前後の福島二本松藩士を中心に、歴史に翻弄(ほんろう)される人間の運命を見据えて歴史小説に新境地を開き、第3回新潮社文芸賞を受賞した。戦後は、占領軍による厳しい検閲のショックや健康上の理由から、一時は創作を離れたが、その後『石原莞爾(かんじ)』(1952)、『明智光秀(あけちみつひで)』(1955)等の伝記ものや、従軍体験に基づく『ビルマ日記』(1963)等を発表した。
[宗像和重]
『『歴史』(1983・叢文社)』