構える(読み)カマエル

デジタル大辞泉 「構える」の意味・読み・例文・類語

かま・える〔かまへる〕【構える】

[動ア下一][文]かま・ふ[ハ下二]
整った形に作り上げる。組み立ててつくる。「新居を―・える」「店を―・える」「一家を―・える」

㋐前もって準備を整える。ある態度をとって、その状況に応じる。「膳を―・える」「ストを―・える」
㋑ある物を、すぐに使えるように準備して手に持つ。「カメラを―・える」「バットを―・える」
計画する。たくらむ。「事を―・える」
ごまかすためにわざと作り上げる。作り事をする。「言を―・える」

㋐事に備えて、ある姿勢・態度をとる。「来るなら来いと―・える」「のんきに―・えてもいられない」
相手に対して心の備えをする。「あまり―・えないで楽にして下さい」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「構える」の意味・読み・例文・類語

かま・えるかまへる【構】

  1. 〘 他動詞 ア行下一(ハ下一) 〙
    [ 文語形 ]かま・ふ 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙
  2. 組み立てて造る。
    1. [初出の実例]「玉桙の 道の辺近く 磐(いは)(かまへ) 作れる塚を」(出典:万葉集(8C後)九・一八〇一)
    2. 「いかめしげなる木どもにて、つよく、かまへたる戸の事也」(出典:名語記(1275)六)
  3. 前もって用意する。
    1. [初出の実例]「媚(こひ)天子に請して禍を隣の国に投(いた)して斯の意行(こころ)を構(カマフ)」(出典:日本書紀(720)斉明六年七月(北野本訓))
    2. 「綱をかまへて、鳥の、子うまん間につなをつりあげさせて」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  4. 事を成そうとして、工夫する。計画をめぐらす。
    1. [初出の実例]「いとこころやすしと聞く人なれば、なにか、さわざわざしうかまへ給はずともありなん」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
    2. 「みかどを傾け奉らんとかまふる罪によりて」(出典:栄花物語(1028‐92頃)月の宴)
  5. 作り事をする。わざわざ作り上げる。ある考えをおこす。たくらむ。
    1. [初出の実例]「虚言を心中に巧(カマヘ)て、謀叛の由を奏す」(出典:将門記承徳三年点(1099))
  6. 態度や物などをある状態におく。ある姿勢をとる。身構える。身じたくする。
    1. [初出の実例]「主とおぼしき人はいとゆかしけれど、見ゆべくもかまへず」(出典:源氏物語(1001‐14頃)玉鬘)
    2. 「ヤリ カタナ ナドヲ camayete(カマエテ) イル」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  7. 犬がほえる。いがみあう。〔色葉字類抄(1177‐81)〕

構えるの補助注記

室町時代頃からヤ行にも活用した。→かまゆ

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