一定の時点,地域において標準的と思われる生活を営むために必要な生活費のことをいう。賃金の決定,国民生活の現状認識,国民生活の目標設定などの資料として利用価値は大きい。しかし,どのような生活内容が標準的かという点については,まだ万人を納得させるものは得られていない。このため通常は,勤労者世帯や夫婦と子ども2人で構成する4人世帯の実態生計費の平均値または並数値(度数分布のうち最頻度数の生計費)などを使用したり,時にはマーケット・バスケット方式などにより算定し使用したりする。しかし,日本で一般的に標準生計費という場合よく知られているのは,人事院または都道府県人事委員会が公務員給与の改訂に際し俸給表決定の要素の一つとして算定公表している生計費である。この生計費の算定は,人事院の場合は東京都,全国を対象地域として1人世帯から5人世帯について行われ,各都道府県人事委員会の場合は県庁所在地の1人世帯から5人世帯(1人世帯のみ発表している県もある)について行われている。このうち1人世帯は18歳程度の独身男子とされ,2人以上世帯は夫婦に子どもが加わっていく形を想定したものを標準世帯に置き,生計費が算定されている。算定方法は食料費についてはマーケット・バスケット方式を利用し,残りの費目は家計調査の支出額を調整したものを使用しているが,これによって算出された生計費の水準はほぼ並数値に相当する。
執筆者:藤井 康
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一定の時と場所における標準的な生活水準を維持するに必要な生活費のことをいう。標準生計費の算定方式には、標準世帯における家計調査の中位数または平均値による実態生計費と、標準的カロリー値を求めてマーケット・バスケット方式によって費用を算出する理論生計費とがある。わが国で一般によく知られているのは、人事院または地方公共団体の人事委員会が公務員給与改定勧告に付随して示す、世帯人員別の標準生計費であるが、これは、世帯人員1人当りの食料費をマーケット・バスケット方式によって算出し、また食料費以外の費用については総務省の家計調査(毎年4月の費目別・世帯人員数別換算係数を乗じて算定)から測定する。これによって算出された生計費の水準は、平均値より低い並数値に相当する。
[小泉幸之助]
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