横尾貝塚(読み)よこおかいづか

日本歴史地名大系 「横尾貝塚」の解説

横尾貝塚
よこおかいづか

[現在地名]大分市横尾

大野川下流左岸の段丘端にある縄文時代の貝塚。古くから貝殻出土で知られ、県道鶴崎―戸次へつぎ線に沿う小丘に貝殻かいがら天神の石祠がある。昭和四〇年(一九六五)県道拡幅計画に伴う発掘調査が行われ、表土(第一層)・混貝土層(第二層)の下の純貝層(第三層)から、縄文時代後期の磨消縄文土器とこれに伴う条痕文土器が多数出土した。さらにその下層(第五層)からは縄文時代前期の轟式土器が出土、県下では数少ない前期の単純層として注目された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「横尾貝塚」の解説

よこおかいづか【横尾貝塚】


大分県大分市横尾にある貝塚遺跡。現在の海岸線から約7km内陸に入った、大野川左岸に広がる鶴崎丘陵の標高6~8mの先端部に所在する。縄文時代早期後葉から後期前葉まで、4期に分かれて変遷する複合遺跡で、海水・河川水が混じり合う干潟(ひがた)に生息するヤマトシジミを主体とする貝層や、海水性のハマグリ主体の中期貝層、海岸線が後退したため漁労活動が低下して貝層が形成されていない後晩期の包含層が確認された。時々の地形や動植物生態系に対応した豊かで多様な生活を営んだ大規模な拠点的集落として重要であることから、2009年(平成21)に国の史跡に指定された。貝層からは土器・石器・骨角器など日常生活を象徴する遺物とともに、土坑墓、イチイガシを主体とする低湿地型貯蔵穴、緩斜面地の竪穴(たてあな)住居跡も検出され、墓地と谷部を含めた広範囲にわたる生活領域が明らかになった。JR日豊本線鶴崎駅から車で約15分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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