樹枝状晶(読み)ジュシジョウショウ(その他表記)dendrite

翻訳|dendrite

デジタル大辞泉 「樹枝状晶」の意味・読み・例文・類語

じゅしじょう‐しょう〔ジユシジヤウシヤウ〕【樹枝状晶】

樹枝状結晶

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「樹枝状晶」の意味・わかりやすい解説

樹枝状晶 (じゅしじょうしょう)
dendrite

金属や合金などの溶融液が凝固する場合に生ずる結晶の形状の一つで,樹枝状に発達したもの。デンドライトともいう。溶融液の凝固が起こりはじめるのは,液の温度が融点よりもある程度低く(両温度の差を過冷度という)なったときであるが,樹枝状晶は,過冷度が広い範囲にわたって大きい場合に生じる。このような場合には,凝固潜熱が溶融液中に継続して吸収されうるため,固相は三次元的に成長できる。固相の成長速度は結晶方向によって異なるので,固相のある個所に突起部が生じる。突起部は平面部に比べて溶融液中への熱の消散速度が大きいことから,ますます優先的に成長し,幹(1次デンドライト)を形成する。やがて1次デンドライトに,その軸の直角方向に突起部を生じ,枝(2次デンドライト)を形成する。同様な過程が繰り返されることにより樹枝状晶が形成される(図)。
執筆者: 大きな過冷却過飽和の状態からの結晶成長は比較的大きな速度で進み,成長は特定の方向に細柱や平板状に急速に起こる。平板状に結晶化が進行する場合には,奇数枚の繰り返す双晶板の接合した形でしばしば成長する。この現象を用いて,ケイ素SiやゲルマニウムGeを数m以上の長いリボン状に結晶させることができる。リボン状に結晶したケイ素は,太陽電池光電素子に利用される。樹枝状晶は,溶融体金属を放冷するときにしばしば見いだされる。天然に産出する鉱物(自然銅Cuなど)にも見いだされるが,溶融体の固化よりもむしろ溶液からの析出気相からの析出と考えられる。
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