光電素子(読み)コウデンソシ(英語表記)photoelectric element

デジタル大辞泉 「光電素子」の意味・読み・例文・類語

こうでん‐そし〔クワウデン‐〕【光電素子】

光と電気を変換する電子部品の総称。電気信号を光信号に変換する発光素子半導体レーザー発光ダイオード)と、光信号を電気信号に変換する受光素子フォトダイオードフォトトランジスター)がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「光電素子」の意味・わかりやすい解説

光電素子 (こうでんそし)
photoelectric element

光のエネルギー電気エネルギーに変換する素子物質内の電子が,入射した光のエネルギーを吸収して物質外に放出される現象を外部光電効果といい,その電子を光電子という。効率よく光電子を得るために種々の光電面が開発されている。実用光電面としてはSb-Cs面,Sb-Na-K-Cs(マルチアルカリ)面,Sb-K-Cs(バイアルカリ)面,GaAs(Cs)面,赤外線用Ag-O-Cs面,紫外線用Cs-Te,Cs-Iなどがある。直線性応答速度がきわめてよく,暗電流も少ない。一方,光照射により物質内の電子がエネルギーを得て励起され,その物質の電気的性質を変化させる現象を内部光電効果といい,光導電現象と光起電力効果がある。半導体に光子が入射したとき,そのエネルギーが半導体の禁止帯幅より大きいときには電子を励起して正孔と伝導電子の対をつくる。外部より電界を加えるとこのキャリアは物質内を移動し,光電流が流れる。この現象を光導電現象という。半導体のp-n接合,または表面障壁に光が入射すると,励起された電子と正孔は内部電界のためそれぞれ逆方向に移動し,起電力を生ずる。両側電極を結べば短絡電流が流れる。この現象を光起電力効果という。

 測光用光電素子としては光電面を使用する光電管と光電子増倍管,内部光電効果を用いる光導電セル,光起電力セル,フォトダイオード,フォトトランジスターがある。
光電効果

光電面と陽極をもつ二極真空管で光電子流を測定する。直線性,時間応答に優れており,精密な測光などに用いられる。ガス入り光電管もあり感度が高いが精密性は失われる。高感度で精密性を目的とするものとしては光電子増倍管がある。

CdSやCdSeセルは,直線性応答速度は悪いが小型かつ取扱いが簡便で比較的高感度のため,露出計や各種光検知器などに使用される。赤外線検出器としてはPbS,PbSeセルがあり,暗電流を減らすために冷却して使用する場合もある。

電力を取り出すことを目的とするものに太陽電池があるが,測光用としてはフォトダイオードが光起電力セルとして短絡電流を測定する形で使用される。InAs,InSbなど光起電力形赤外線検出器もある。

SiあるいはGaAsPなどの単結晶を使用し,p-n接合やショットキー形などの表面障壁をつくったものである。外部電源なしで動作範囲が広く安定度もよいので分光光度計,露出計,文字読取装置,ライトペンなどに用いられる。p,n領域に固有半導体領域をはさんだ接合構造をもつpin形フォトダイオードは外部電源により逆バイアスをかけ,さらに高速動作にして光通信などに使用される。

n-p-n(p-n-p)接合をもつ2端子素子で,光により励起されたキャリアがベース電流を注入したのと同じ作用をし,外部電源をつなぐと増幅された電流が流れる。高感度であるが直線性は劣る。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「光電素子」の意味・わかりやすい解説

光電素子
こうでんそし
opto-electronic element

光と電子のふるまいを結合させる素子。光エレクトロニクスで直接光を取り扱う固体電子素子の総称であるが、光電管、撮像管などの電子管や太陽電池を含める場合もある。

 光電素子には、電気信号を光信号に変換する発光素子と、光信号を電気信号に変換する受光素子がある。発光素子は半導体レーザーと発光ダイオードの二つである。半導体レーザーは、光波長0.75~0.9ミクロンの短波長帯のものがガリウム・アルミニウム・ヒ素(GaAlAs)系の化合物半導体でつくられ、多くの光通信システムで使用されている。長距離光通信用の長波長帯1~1.6ミクロンのものは、ガリウム・インジウム・ヒ素・リン(GaInAsP)系で実現され、室温動作寿命100万時間、2ギガヘルツ以上のものが開発されている。とくに赤と短波長帯のものは、ビデオディスク、レーザープリンターバーコードリーダーなどに使用され、民生用として応用範囲は広い。さらに、橙(だいだい)、黄、緑(0.47ミクロン)さらには青、紫と波長の短いものが開発されてきている。

 発光ダイオードでは、緑、黄、赤光のほか、光通信用の長波長帯のものがインジウム・ガリウム・ヒ素・リン系でつくられている。

 受光素子には、短波長帯で用いられるシリコン・アバランシェ光ダイオードやシリコン光ダイオード、ホトトランジスタ、長波長帯で用いられるゲルマニウム光ダイオード、ゲルマニウム・アバランシェ光ダイオードがある。1.55~1.7ミクロン帯にはインジウム・ガリウム・ヒ素・リン系のものが開発されている。画像用の受光素子では、シリコンの電荷結合素子(CCD)やMOSイメージャーが実用化されている。宇宙探査・計測用の3~5ミクロン帯にはインジウム・ヒ素・アンチモン(InAsSb)を77K(絶対温度)の低温で用い、8~12ミクロン帯ではガリウムを含有したシリコンを、極低温の25Kで使用している。

[岩田倫典]

『松本正一編・著『電子ディスプレイ』(1995・オーム社)』『藤本正友・三上修著『光機能素子』(1995・産業図書)』『池上徹彦監修、土屋治彦・三上修編・著『半導体フォトニクス工学』(1995・コロナ社)』

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百科事典マイペディア 「光電素子」の意味・わかりやすい解説

光電素子【こうでんそし】

光のエネルギーを電気エネルギーに変換する素子。物質内の電子が,入射した光のエネルギーを吸収して物質外に放出される現象を外部光電効果といい,その電子を光電子という(光電子放出現象)。効率よく光電子を得るために種々の光電面(光電子を放出する面)が開発されている。また,光照射により物質内の電子がエネルギーを得て励起され,その物質の電気的性質を変化させる現象を内部光電効果といい,光(ひかり)伝導現象と光(ひかり)起電力効果がある。外部光電効果を利用した光電管光電子増倍管,内部光電効果を用いる光導電セル,光起電力セル,フォトダイオード,フォトトランジスターがある。→光電効果光電池

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