精選版 日本国語大辞典 「檜の木」の意味・読み・例文・類語
ひ‐の‐き【檜・檜木】
- 〘 名詞 〙
- ① ヒノキ科の常緑高木。日本特産で、本州の福島県以南、四国、九州の屋久島までの山地に生え、広く植林されている。高さ三〇~四〇メートル、径一~二メートルに達する。樹冠は鋭円錐形。樹皮は赤褐色で縦に裂け薄くはげる。葉は鱗片(りんぺん)状に小枝に密に対生。雌雄同株。春、枝端に花をつける。球果は径約一センチメートル。木質で赤褐色を帯びる。種子はほぼ円形で左右に狭い翼がある。材は黄白色。緻密で光沢・芳香があり、耐久性に富み建築材として重用される。樹皮は屋根葺き、槇皮(まいはだ)に使用。庭園樹としても重用され、チャボヒバ、クジャクヒバなど多数の園芸品種がある。漢名に扁柏(へんぱく)・檜を当てるが誤用で、それぞれ、コノテガシワとイブキの漢名の一つ。
- [初出の実例]「乃ち、鬚髯(ひけ)を抜きて散(あか)つ。即ち、杉(すきのき)に成る。又、胸の毛を抜き散つ。是檜(ヒノキ)に成る」(出典:日本書紀(720)神代上(兼方本訓))
- ② 植物「あすなろ(翌檜)」の異名。
- ③ 植物「くろべ(黒檜)」の異名。
- ④ 植物「さわら(椹)」の異名。
檜の木の語誌
( 1 )「ひばら(檜原)」「ひのくまがわ(檜隈川)」などの語があり、ヒの形が古い。
( 2 )火の出やすい性質からヒノキ=火の木という語源説があるが、古代において、ヒノキの古語ヒには甲類の仮名が、火には乙類の仮名が用いられていたところから、否定されている。