日本大百科全書(ニッポニカ) 「コノテガシワ」の意味・わかりやすい解説
コノテガシワ
このてがしわ / 児手柏
[学] Platycladus orientalis (L.) Franco
Biota orientalis (L.) Endl.
ヒノキ科(分子系統に基づく分類:ヒノキ科)の常緑低木または小高木で、高さ2~14メートルになる。中国名は柏、側柏。枝は直立して広がり、小児が手のひらを立てたようにみえるため、コノテガシワの名がある。葉は卵形、長さ1.5~2.5ミリメートルの鱗状(りんじょう)葉で密に十字対生し、表と裏がはっきりしない。雌雄同株。3~4月に開花し、花は小枝の先に単生し、雄花は茶褐色、楕円(だえん)形で長さ3ミリメートル。雌花は淡紫色、球形で鱗片は反り返り、径4~4.5ミリメートルである。球果は11月ころ紫褐色に熟し、卵球形、径1.5~2センチメートル、木質で堅く、果鱗の上部に刺(とげ)状の突起がある。種子は楕円形で3稜(りょう)があり、翼はない。中国北部、西部原産で、日本へは元文(げんぶん)年間(1736~1741)に渡来した。寺院、公園などに植栽し、繁殖は実生(みしょう)または挿木による。幹が直立するワビャクダン、株立ちの低木になるセンジュ、若葉が黄金色のオウゴンコノテガシワなどの品種がある。種子を柏子仁(はくしにん)といい、滋養強壮剤に、葉を側柏葉(そくはくよう)といい、収斂(しゅうれん)止血剤に用いる。
[小林義雄 2018年6月19日]