檜原(読み)ヒバラ

デジタル大辞泉 「檜原」の意味・読み・例文・類語

ひ‐ばら【×檜原】

《「ひはら」とも》ヒノキの茂っている原。
巻向まきむくの―もいまだ雲居ねば小松うれゆ沫雪流る」〈・二三一四〉

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精選版 日本国語大辞典 「檜原」の意味・読み・例文・類語

ひ‐ばら【檜原】

  1. ( 「ひはら」とも )
  2. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ヒノキの林。ヒノキの茂っている原。
    1. [初出の実例]「夕されやひはらのみねを越え行ばすごくきこゆる山鳩のこゑ」(出典:山家集(12C後)下)
  3. [ 2 ] ( ヒノキが繁茂していたところから ) 奈良県桜井市、三輪山・巻向山・初瀬山一帯。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「檜原」の意味・わかりやすい解説

檜原(村)
ひのはら

東京都の西端、西多摩郡(にしたまぐん)にある村。関東山地にあり、三頭山(みとうさん)(1531メートル)を最高に1000メートル級の山に囲まれている。中央部を東西に走る浅間尾根によって北秋川、南秋川の二つの谷に分かれ、合する所に中心集落の本宿(もとじゅく)がある。村域の92%が山林でヒノキ、スギなどの森林に覆われていることが地名とかかわりがある。いまも多摩林業の中心地である。江戸時代、本宿には口留(くちどめ)番所が置かれ、通行人を取り締まっていた。南秋川の最上流の数馬(かずま)は武田氏の落武者集落といわれ、多層構造の兜造(かぶとづくり)民家がある。JR五日市(いつかいち)線の武蔵(むさし)五日市駅(あきる野市)からバスが通じる。数馬から北方奥多摩湖へ1973年(昭和48)奥多摩有料道路(1990年無料開放。現、奥多摩周遊道路)が開かれた。また、南に接する山梨県上野原市との間に、1990年(平成2)甲武トンネルが開通した。孤立的環境のため古い習俗を残し、自然美と相まって観光地として知られる。北秋川の谷奥の藤原には老杉イヌグスのある春日神社(かすがじんじゃ)、国指定重要文化財である古い民家の小林家住宅がある。北秋川の支流払沢(ほっさわ)には全体の高度差約60メートルの払沢の滝、高さ約100メートルの岩壁がそびえる神戸(かのと)岩がある。南秋川の谷の上川苔(かみかわのり)には、埋葬地とお参りする所を別にする両墓制の風習が残っている。人里(へんぼり)には嘉元(かげん)3年(1305)銘記の板碑(いたび)や石仏が多く、笹野(ささの)の神明社には、都の無形民俗文化財に指定されている伝統芸能の「式三番(しきさんば)」が伝えられている。面積105.41平方キロメートル、人口2003(2020)。

沢田 清]


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改訂新版 世界大百科事典 「檜原」の意味・わかりやすい解説

檜原[村] (ひのはら)

東京都西部,西多摩郡の村。人口2558(2010)。多摩川の支流秋川上流にある山村で,かつては製炭や林業が盛んであったが,1960年代に衰えた。現在はコンニャク,シイタケの生産のほか,冷涼な気候を利用したシクラメンの栽培が行われている。村域の大部分が秩父多摩国立公園に属し,交通・通信の発達からとり残され,隔絶性が強かったが,73年に南秋川最奥の集落数馬から奥多摩湖にぬける奥多摩有料道路が完成し(90年無料開放),東京近郊のレクリエーション地となっている。数馬は武田氏の落武者集落といわれ,〈かぶと造〉の甲州風民家がみられる。
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デジタル大辞泉プラス 「檜原」の解説

檜原

福島県で生産されるササゲ。赤と白の子実が縁起物とされ、「花嫁ささげ」とも呼ばれる。古くから北塩原村檜原(ひばら)地区で栽培されていた。

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世界大百科事典(旧版)内の檜原の言及

【北塩原[村]】より

…磐梯山の北麓と北斜面の大半を占め,西部は会津盆地北東端にあたる。江戸時代は会津藩領で,檜原は米沢街道の宿場町として発展したが,街道が大峠を通るようになって衰えた。早稲沢,小野川,細野,雄子沢などは木地屋集落であった。…

※「檜原」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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