(読み)サワラ

デジタル大辞泉 「椹」の意味・読み・例文・類語

さわら〔さはら〕【×椹】

ヒノキ科の常緑大高木。山林中に自生し、高さ30~40メートル。樹皮灰褐色で、縦に裂けてはげる。葉はうろこ状でヒノキに似るが、先がとがる。4月ごろ、紫褐色で楕円形雄花と、黄褐色球形雌花をつける。庭木にし、植林もされる。材は耐水性が強く、桶や建具に用いる。さわらぎ。

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精選版 日本国語大辞典 「椹」の意味・読み・例文・類語

さわらさはら【椹】

  1. 〘 名詞 〙 ヒノキ科の常緑高木。各地で広く植栽されるが、本州や九州に自生が知られている。高さ三〇~四〇メートル、径一メートルに達する。ヒノキに似ているが樹形はより鋭い円錐形をなす。葉は扁平な鱗状で小枝や細枝に対生状に圧着し、小枝がちょうど一枚の葉のようになる。葉の先端はとがり、裏面の白斑がいちじるしい。雌雄同株。果実は球形の毬果で径七ミリメートルぐらい、一〇または一二個の鱗片からなり、黄褐色。種子は長さ約二ミリメートル、幅約四ミリメートルで翼がある。材はヒノキより軟らかいが湿気に強いことから、桶(おけ)材や、障子・ふすまの組子に使う。漢名に花柏を当てるが誤用。さわらぎ。
    1. [初出の実例]「莫諸椹」(出典:宝慶記(1253))
    2. [その他の文献]〔易林本節用集(1597)〕

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普及版 字通 「椹」の読み・字形・画数・意味


13画

[字音] チン・ジン
[字訓] あてぎ・さわらぎ

[字形] 形声
声符は甚(じん)。甚に碪(ちん)の声があり、砧(ちん)(きぬた)と同じく、木のあて木を椹という。桑の実を桑椹といい、その酒を椹酒という。わが国では「さわらの木」とし、「さわらぎ」とよむ。

[訓義]
1. あて木、木をわるときの台、また質・(しつ)という。
2. くわのみ。
3. 碪・砧と通じ、きぬた。
4. わが国で、さわら、さわらぎ。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕椹 桑の實なり、牟久乃木(むくのき) 〔名義抄〕椹 クハノミ・アテ

[語系]
椹zjim、砧・timは声近く、同系の語。木には椹、石には砧という。は刺撃、また木を斫(き)る音をいう。

[熟語]
椹酒椹質
[下接語]
椹・射椹・樹椹・桑椹・鉄椹・木椹

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動植物名よみかた辞典 普及版 「椹」の解説

椹 (サワラ)

学名Chamaecyparis pisifera
植物。ヒノキ科の常緑針葉高木,園芸植物

椹 (ムク)

植物。ニレ科の落葉高木,園芸植物,薬用植物。ムクノキの別称

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