歌舞伎年代記(読み)かぶきねんだいき

改訂新版 世界大百科事典 「歌舞伎年代記」の意味・わかりやすい解説

歌舞伎年代記 (かぶきねんだいき)

歌舞伎の興行年表。正編,続編,続続編の3種がある。正編は烏亭焉馬編,1811-15年(文化8-12)刊。原名《花江都(はなのえど)歌舞妓年代記》。1624年(寛永1)から1804年(文化1)までの記録。続編は石塚豊芥子編,1859年(安政6)成稿。原名《花江都歌舞妓年代記続編》。正編に続く1805年から59年までの劇界記録。続続編は田村成義編,続く59年から1903年(明治36)までの記録。〈乾〉〈坤〉2巻の予定であったが〈坤〉は焼失未刊。1979年に利倉幸一編によって〈坤〉が出版され,1912年までの記録を収めるが,これは田村成義編の〈乾〉の後を継いで新たに編集されたもの。各編の記録姿勢は,編者が異なるため必ずしも一定しないが,江戸の歌舞伎興行記録が通覧できる。正編の翻刻は歌舞伎座出版部版,日本古典全集刊行会版があり,続編は《新群書類従》第4に翻刻され,同じ紙型単行本にして出版されている。続続編は活字本として市村座から発行。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「歌舞伎年代記」の意味・わかりやすい解説

歌舞伎年代記
かぶきねんだいき

歌舞伎史の基本資料。1624年(寛永1)江戸・中橋に猿若座(さるわかざ)(後の中村座)が開場して以後、1912年(明治45)までの、江戸(東京)の各座における興行記録。次の4種によって書き継がれている。

(1)『花江都歌舞妓(はなのえどかぶき)年代記』 立川焉馬(たてかわえんば)編。1624年から1804年(文化1)の興行記録。翻刻に歌舞伎座出版部本、日本古典全集刊行会本の2種がある。

(2)『歌舞妓年代記続編』 石塚豊芥子(ほうかいし)編。焉馬の『歌舞妓年代記』の後を継ぎ、1805年から1858年(安政5)までの上演記録を収める。翻刻に国書刊行会本、新群書類従(ぐんしょるいじゅう)本がある。

(3)『続々歌舞伎年代記(乾(けん))』 田村成義(なりよし)編。1922年(大正11)市村座刊。続編の後を継ぎ、1859年から1903年(明治36)までの興行記録・評判などの関係資料を収める。2部の予定で、乾の巻と付されたが、坤(こん)の巻の原稿は関東大震災で焼失、出版されずに終わった。

(4)『続々歌舞伎年代記(坤)』 利倉(としくら)幸一編。田村の遺志を継いでの命名であるが、内容は別に新しく編纂(へんさん)された書。1904年から12年7月までの興行記録と関連資料を収める。1979年(昭和54)演劇出版社刊。

服部幸雄

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