此人にしてこの病あり(読み)このひとにしてこのやまいあり

精選版 日本国語大辞典 「此人にしてこの病あり」の意味・読み・例文・類語

この【此】 人(ひと)にしてこの病(やまい)あり

  1. ( 「論語‐雍也」の「伯牛有疾。子問之、自牖執其手曰、亡之、命矣夫。斯人也、而有斯疾也」から ) このような立派な人でも、このような悪い病気にかかるものだ。転じて、立派な人なのに、色欲など一つ欠点のために身の修まらないさまをたとえていう。
    1. [初出の実例]「先生腎虚して不善をなす。誠に疲たる君子となりたまふ。この人にして此疾(ヤマヒ)あり」(出典咄本・詞葉の花(1797)じんきょ)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

故事成語を知る辞典 「此人にしてこの病あり」の解説

この人にしてこの病あり

立派な人が重い病気になることを嘆くことば。転じて、才能のある人物なのに、色欲などの欠点のために、才能を十分には発揮できないことのたとえ。

[使用例] 壮年の頃江戸へ出て、根岸お行の松へ道場を構え、大いにそくばそうとしたが、この人にしてこの病いあり、女は好き酒は結構、勝負事は大好物、取れた弟子も離れてしまい[国枝史郎*名人地獄|1925]

[由来] 「論語よう」に見える孔子のことばから。弟子のはくぎゅうが重い病気にかかった際、見舞いに訪れた孔子はその手を取って、「の人にしてやまい有り(こんなに立派な人が、こんなに悪い病気にかかるなんて)」とくり返して言い、過酷な運命を嘆いたのでした。

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