武士は食わねど高楊枝(読み)ブシハクワネドタカヨウジ

デジタル大辞泉 「武士は食わねど高楊枝」の意味・読み・例文・類語

武士ぶしわねど高楊枝たかようじ

武士は貧しくて食事ができなくても、あたかも食べたかのように楊枝を使って見せる。武士の清貧体面を重んじる気風をいう。また、やせがまんすることにもいう。

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精選版 日本国語大辞典 「武士は食わねど高楊枝」の意味・読み・例文・類語

ぶし【武士】 は 食(く)わねど高楊枝(たかようじ)

  1. 武士は、たとえ貧しく物が食えなくても、食べたようなふりをして楊枝を使うの意で、武士は貧しても不義を行なわない、また、矜持の高いことをたとえていう。
    1. [初出の実例]「諺に申す武士は喰はねど高楊枝」(出典:歌舞伎・樟紀流花見幕張(慶安太平記)(1870)大詰)

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ことわざを知る辞典 「武士は食わねど高楊枝」の解説

武士は食わねど高楊枝

武士たるもの、たとえ貧しくて食べるものに事欠いても、じゅうぶん食べたふりをして楊枝を使うものだ。武士はたとえ生活に窮しても気位は高くもち、恥ずべきことをしてはならないというたとえ。

[使用例] 「武士は食わねど高楊枝」の心がやがて江戸者の「宵越しの銭を持たぬ」誇りとなり、更にまた「蹴ころ」「不見転」を卑しむ凛乎たる意気となったのである[九鬼周造*「いき」の構造|1930]

[解説] 古くは「侍(士)は」といいましたが、江戸中期以降「武士は」の形が優勢となります。なお、このことわざは、武士の誇り高いことのたとえですが、下級武士の生活が楽ではなかったことの反映とみると、町人から武士への皮肉にもなり得るものでした。

[類句] 鷹は飢えても穂をつまず/渇しても盗泉の水を飲まず

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