( 1 )本来は[ 一 ]のように「心ばえ」や「気合」などの意味で使われた「意気」が、江戸時代初期から[ 二 ]のように遊興の場での心意気を示す言葉になり、「意気」「意気地」「意気張り」などの形で「粋(すい)」や「通」の精神面を担うようになった。
( 2 )明和の頃から衣装風俗の様態を示す言葉として使われ始め、寛政期になると「いき」のあらゆる様態が出そろった。その精神性が拡散するにつれ、多くの場合、男性に対して使われていたこの言葉が男女の別なく使われるようになり、化政期をすぎると、女性の美しさを表わす言葉の一つとして一種の色っぽさを示すようになる。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
江戸時代,江戸を中心にみられる美的理念の一つ。江戸深川の遊里(ゆうり)における通言であったものが市中に一般化したもの。「粋」の字をあてることも多く,上方を中心にみられる「粋(すい)」と通うところもある。主として言語・動作・身なりなどの都会的に洗練された美しさをいうときに使われる。のちには女性の張りのある色っぽさをもいうようになり,人情本(にんじょうぼん)に登場する女性たちに典型的に形象化されている。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…ただし“粋”“通”が地域的・時代的限定を伴うのに対して,“いき”は江戸時代を通じて用いられ,現代にも通用している。本来は〈意気〉の漢字があてられるが,後には〈粋〉とも書かれて,より美的な理念となった。〈意気〉は〈意気地〉でもあり,人間が事に処してきっぱりとした決断を示す精神作用を称美したものであるが,江戸初期から遊里などで男女の精神的清潔さを称美する言葉として用いられ始め,以後“粋”や“通”といった理念の中の精神面を形成する重要な要素として存在し続け,江戸後期にいたって,いやみがなく,あだっぽい色気というような意味で用いられて流行語となった。…
※「意気」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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