…ホウビシダの半水生変種であるヤクシマホウビシダでも,葉面の細胞層の単純化に対応して気孔が失われている。コケ植物では,ツノゴケ類の胞子体に気孔がみられ,ゼニゴケ類などでは配偶体に気室air chamberがつくられ,細胞壁の垂直方向の割れ目が呼吸口として開口する。フロリンR.Florinは裸子植物の気孔の構造を比較研究し,その形成過程に2型あることを明らかにしたが,その差が裸子植物の系統分化の過程と一致していることを示した。…
…植物体は葉状で叉(さ)状に分岐し,長さ3~10cm,幅8~15mm,やや黒みをおびた緑色,辺縁は細かく波状に縮む。葉状体の内部構造は複雑で同化組織には気室という間隙(かんげき)があり,気室は気室孔という穴を通じて外界と連絡し,気室の中には緑色の細胞が不規則に配列している。背面の中央部に杯状の無性芽器(杯状体という)を生じ,その中に多数の扁平な鼓形の無性芽ができる。…
※「気室」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」