苔類(読み)タイルイ(その他表記)liverwort
Hepaticae

デジタル大辞泉 「苔類」の意味・読み・例文・類語

たい‐るい【×苔類】

コケ植物の一群。湿った地上または樹皮に生え広がる。葉状体のものと茎状体のものとがあり、体の表面胞子体をつくって繁殖する。ゼニゴケジャゴケウロコゴケなど。

こけ‐るい【×苔類】

苔植物こけしょくぶつ

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精選版 日本国語大辞典 「苔類」の意味・読み・例文・類語

たい‐るい【苔類】

  1. 〘 名詞 〙 コケ植物門の一綱。配偶体は、一部のものでは茎・葉に分化するが、多くのものでは分化せず葉状体を形成し、仮根糸状体発達はあまりよくなく、細胞中には油体が含まれる。蔵精器・蔵卵器は長い柄をもった雄器床、雌器床上に生じ、これを俗にこけの花と呼ぶ。また、ゼニゴケ類ともいう。
    1. [初出の実例]「気候常に寒冽なるを以て極地の苔類等を生長す」(出典:具氏博物学(1876‐77)〈須川賢久訳〉一)

こけ‐るい【苔類】

  1. 〘 名詞 〙こけしょくぶつ(苔植物)

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改訂新版 世界大百科事典 「苔類」の意味・わかりやすい解説

苔類 (たいるい)
liverwort
Hepaticae

コケ植物の1綱で,ゼニゴケマキノゴケツボミゴケなどを含む。配偶体は一般に匍匐(ほふく)し,葉状または茎と葉が分化している。仮根rhizoidは単細胞。葉は茎の両側面と腹面の3列につくが,腹面の葉(腹葉という)は退化しているものが多い。葉は1層の細胞からなり,中央脈を欠く。葉には全縁のもの,さまざまに切れこんだもの,折れたたんだもの,袋状となったものなどがあり,その形態はきわめて多様である。細胞は多数の葉緑体とともに,精油を含む油体という苔類に特有の構造体をもつ。造卵器の周りには,包膜や花被などの袋状の器官が発達して造卵器や胞子体を保護する。胞子体は軟弱で短期間に胞子を放出した後すぐに枯れる。蒴(さく)(胞子囊)の構造は単純で,蒴歯や軸柱を欠き,蒴壁は不規則に破れるか,またはふつう4弁に分かれて裂開する。蒴の内部には胞子とともに弾糸が存在する。世界に約7000種,うち日本に約600種ある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「苔類」の意味・わかりやすい解説

苔類
たいるい

蘚(せん)類、ツノゴケ類と並ぶコケ植物の一群。植物体は葉状体になるもの(ゼニゴケ類、フタマタゴケ類)と茎葉体になるもの(ウロコゴケ類など)がある。組織の細胞には多数の葉緑体を含むほか、灰白色褐色、青色などの油体も含む。胞子体は葉緑体がきわめて少なく、胞子を飛ばすとすぐに枯れる。蒴(さく)は四裂するのが普通で、蒴の中には胞子と、糸状で2本の螺旋(らせん)糸をもつ弾糸がある。胞子が発芽してできる原糸体は数個の細胞からなり、この先端に幼植物が形成される。全世界で約7000種が知られており、このうち日本には約600種がある。

[井上 浩]

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世界大百科事典(旧版)内の苔類の言及

【コケ植物(苔植物)】より

…蘚苔類(せんたいるい)ともいい,系統上は,水中に生活する藻類と陸上に生活する維管束植物との中間に位置し,一般に陰湿な環境を好む小型の植物で,植物界の両生類ともいわれる。生殖器官が多細胞で,受精卵が母体内にとどまり,その後の発生も母体から養分を吸収して行われる点で,藻類と異なる。…

※「苔類」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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