精選版 日本国語大辞典 「気毒」の意味・読み・例文・類語
き‐の‐どく【気毒】
- 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( もと、自分の心や気分にとって毒になることの意 )
- ① 自分の心に苦痛や困惑を感じること。また、そのさま。⇔気の薬(くすり)。
- (イ) 気がもめたり、気がかりであったりして、腹だたしく思ったり、厭に思ったりすること。また、そのさま。
- (ロ) 困ってしまうこと。また、そのさま。困惑。迷惑。
- (ハ) きまりの悪いこと。恥ずかしいこと。また、そのさま。
- [初出の実例]「七十にちかいおやぢ様を兄分にたのむと書きては、わしが年をむしゃうにふけたやうに沙汰せらるるも気毒(キノドク)」(出典:浮世草子・浮世親仁形気(1720)一)
- 「いはれてお雪は気のどくそうに、顔をあかめて」(出典:人情本・仮名文章娘節用(1831‐34)後)
- ② 他人の不幸、苦痛、難儀などに同情して心を痛めるさま。
- ③ ( ━する ) 迷惑をかけたり、労力を使わせたりして申し訳ないと思うこと。
- [初出の実例]「否(いい)や、玉さん、気の毒したが、僕は最早(もう)飲むまい」(出典:良人の自白(1904‐06)〈木下尚江〉後)
気毒の語誌
近世初期には、自分のことについていう場合が多かったが、江戸時代後期には、他人のことについていう用法が勢力を増し、語義も同情・あわれみの意に変化していく。
気毒の派生語
きのどく‐が・る- 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
気毒の派生語
きのどく‐げ- 〘 形容動詞ナリ活用 〙
気毒の派生語
きのどく‐さ- 〘 名詞 〙