流体包有物(読み)りゅうたいほうゆうぶつ(その他表記)fluid inclusion

改訂新版 世界大百科事典 「流体包有物」の意味・わかりやすい解説

流体包有物 (りゅうたいほうゆうぶつ)
fluid inclusion

鉱物中に存在する流体主体とする包有物。流体内で結晶が成長するときに,構造欠陥に起因してできた結晶内の空隙中に周囲の流体がとりこまれることによって生じる。天然の結晶では0.01mm以下の大きさのものが多いが,ブラジル産の水晶などでは肉眼で見えるものもある。高温で結晶中にとりこまれた流体は,常温では一般に2相(液相+気相),あるいは3相(液相+気相+固相)に分離している。これらの多相包有物を熱して1相になる温度充てん温度あるいは均質化温度)から結晶が生成した温度を推定することができるほか,包有物の組成から鉱物を沈殿した母流体の組成を知る手がかりが得られる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

岩石学辞典 「流体包有物」の解説

流体包有物

液体を含む包有物.顕微鏡的または顕微鏡的以下の大きさで,最初結晶作用過程で結晶内部に取り込まれた液体である.この流体を構成する液体および気体の組成分析や温度,圧力による変化から,包有物の形成当時の環境を推測する手がかりとして利用される.⇒包有物

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

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