日本大百科全書(ニッポニカ) 「海技教育機構」の意味・わかりやすい解説
海技教育機構
かいぎきょういくきこう
船員養成のための公的教育機関。独立行政法人海技教育機構法(平成11年法律第214号、公布時は独立行政法人海員学校法、平成18年法律第28号により、現行法名に改題)に基づき設立された国土交通省所管の独立行政法人。英語表記はMarine Technical Education Agency。本部の所在地は静岡市清水区折戸(おりど)。2006年(平成18)独立行政法人海技大学校と独立行政法人海員学校が統合して発足した。前身の海技大学校は、1945年(昭和20)設立の海技専門学院に始まり、1961年に海技大学校となった。一方の海員学校は、1939年に設立された海員養成所が1952年に海員学校となったものである。
海技教育機構の目的は「船員に対し船舶の運航に関する学術及び技能を教授すること等により、船員の養成及び資質の向上を図り、もって安定的かつ安全な海上輸送の確保を図る」(海技教育機構法第3条)ことである。この目的を達成するために、海上技術学校、海上技術短期大学校、海技大学校の3種の教育機関を有する。海上技術学校では、本科において船員になるための高等普通教育と航海および機関の専門教育を履修、卒業後に希望者は乗船実習科に進む。小樽(おたる)(北海道小樽市)、館山(千葉県館山市)、唐津(からつ)(佐賀県唐津市)、口之津(くちのつ)(長崎県南島原市)の四つの国立海上技術学校がある。海上技術短期大学校は、航海および機関の専門教育の履修と、その後に乗船実習を行う。宮古(岩手県宮古市)、清水(静岡市清水区)、波方(なみかた)(愛媛県今治(いまばり)市)の三つの国立海上技術短期大学校がある。海技大学校には、海技士教育科と技術教育科があり、船舶運航に関する高度の学術および技能を教授する。所在地は兵庫県芦屋(あしや)市である。
[編集部]