淵酔(読み)エンスイ

デジタル大辞泉 「淵酔」の意味・読み・例文・類語

えん‐すい【×淵酔】

《古くは「えんずい」とも》平安時代以降、宮中清涼殿殿上てんじょう殿上人を召して催した酒宴。参会者は朗詠・今様などを歌い、歌舞を楽しんだ。正月三が日中の吉日、または新嘗祭にいなめさいなどのあとに行われた。宴水。殿上の淵酔。

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精選版 日本国語大辞典 「淵酔」の意味・読み・例文・類語

えん‐すい【淵酔】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「えんずい」とも )
  2. 深く酔うこと。
    1. [初出の実例]「浅深淵酔花鰓下、取楽何求藻魚」(出典:菅家文草(900頃)二・同諸才子、九月卅日、白菊叢辺命飲)
  3. 平安時代、天皇が殿上人を清涼殿殿上の間に召して催した酒宴。朗詠、今様などを歌い、歌舞を楽しんだ。正月三が日中の吉日、一一月寅の日、あるいは新嘗祭(にいなめさい)などの大礼の後に行なわれた。宴水。殿上の淵酔。
    1. [初出の実例]「徐公湖隔。豈問路乎淵酔之中」(出典:本朝文粋(1060頃)一〇・逢花傾一盃詩序〈大江匡衡〉)
    2. 「五節の宴(エン)水」(出典:太平記(14C後)一二)
  4. 転じて、酒宴。
    1. [初出の実例]「大納言のいふやう、えんすいあるべしとて、中将入道に、らうゑいいまやううたはせて、あそぶ」(出典:嵯峨のかよひ(1269))

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普及版 字通 「淵酔」の読み・字形・画数・意味

【淵酔】えんすい

深酔い。

字通「淵」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の淵酔の言及

【酒】より

…これに続く穏座(おんざ)はかなり自由にふるまえるものであった。また天皇から殿上人に酒をたまわる淵酔(えんずい)と呼ばれる酒宴も催されていた。奈良時代の酒といえば,山上憶良の〈貧窮問答歌〉にみえる糟湯酒(かすゆざけ)があり,また酒を好んだ大伴旅人のことが知られている。…

※「淵酔」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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