殿上の間(読み)テンジョウノマ

デジタル大辞泉 「殿上の間」の意味・読み・例文・類語

てんじょう‐の‐ま〔テンジヤウ‐〕【殿上の間】

清涼殿の南ひさしにある殿上人詰め所殿上

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精選版 日本国語大辞典 「殿上の間」の意味・読み・例文・類語

てんじょう【殿上】 の 間(ま)

  1. 清涼殿の南廂(みなみひさし)をいう。殿上人はここに控え、上の戸から東廂御前に参進した。常には蔵人が詰めており、また、公卿僉議(せんぎ)も行なわれた。清涼殿の控室・事務室・会議室を兼ねた所で、台盤(だいはん)、出御の際の椅子(いし)、殿上の簡(ふだ)、鳥口(とりぐち)文杖(ふづえ)などがおかれている。殿上。
    1. [初出の実例]「候殿上之間大臣被参来者、起座隠去」(出典侍中群要(1071か)五)

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改訂新版 世界大百科事典 「殿上の間」の意味・わかりやすい解説

殿上の間 (てんじょうのま)

内裏にある清涼殿の南廂(ひさし)の部屋。会議室または控室の用をし,公卿や昇殿を許された四位・五位の殿上人,蔵人(くろうど)が祗候するところ。東西6間の細長い部屋で,北側は白壁で身舎(もや)との間を仕切り,南は簀子がなく,神仙門で東西に区切り,東側に小板敷,西側に沓脱(くつぬぎ)の縁をつける。東西に妻戸があり,西を下の戸,東を上の戸といい,上の戸の東が落板敷(おちいたじき)で,年中行事障子がある。ここを通って清涼殿の身舎に出る。上の戸の北寄りの上部に小蔀(こじとみ)(格子戸),北側鬼の間との境の柱をはさんで櫛形の小窓がある。室内には東寄り第1の間の北隅に天皇出御のさいの御倚子(ごいし)を置く。中央に4尺の切台盤1脚,8尺の台盤2脚を並べ,周囲に畳を敷き,下に火櫃,囲碁,弾棋(遊具)等を置く。小蔀のそばに奏聞(そうもん)に使用する奏杖(または文挟(ふばさみ)),下の戸の近く北側に殿上出仕者の名簿日給の簡(ふだ)を立てかける。また末の柱から校書殿(きようしよでん)の後に綱を張り鈴をつけ,蔵人が小舎人(ことねり)を呼ぶときに鳴らした。侍,侍所,殿上侍,上侍,雲上,雲路等の別称がある。また院の御所にも殿上の間があった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「殿上の間」の意味・わかりやすい解説

殿上の間
てんじょうのま

平安宮内裏(だいり)の清涼(せいりょう)殿南庇(ひさし)をさす。公卿(くぎょう)、殿上人(びと)が伺候する部屋。殿上ともいう。殿上人が詰めて天皇の日常生活に奉仕したり、公卿などの会議や事務作業の場ともなった。母屋(もや)との境は壁で、櫛形(くしがた)の窓がある。南側は東に縁(えん)(小板敷(こいたじき)という)、西に沓脱(くつぬぎ)があり庭からの出入りに使われた。室内には天皇の倚子(いし)のほか、台盤(だいばん)(食事をのせる台)、辛櫃(からびつ)などさまざまな備品が置かれ、殿上人の名を記した日給(にっきゅう)の簡(ふだ)(出勤の確認に用いる札)が掛けてあった。

[吉田早苗]

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世界大百科事典(旧版)内の殿上の間の言及

【清涼殿】より

…その南は〈台盤所〉で,天皇の食事を調進する女房の詰所である。殿上人等が詰める殿上の間に相当し,御倚子(ごいし),台盤,当番の女房の名を記した女房簡(ふだ)等が置かれている。南の端が〈鬼の間〉で,南側の壁に白沢王(はくたくおう)が鬼を切る画が描かれている。…

※「殿上の間」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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