渓嵐拾葉集(読み)けいらんしゅうようしゅう

精選版 日本国語大辞典 「渓嵐拾葉集」の意味・読み・例文・類語

けいらんしゅうようしゅう ケイランシフエフシフ【渓嵐拾葉集】

天台宗の僧光宗(一二七六‐一三五〇)の著。一一六巻。文保二年(一三一八)序。天台故事口伝を集輯し、自己思想先輩諸説を整理したもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「渓嵐拾葉集」の意味・わかりやすい解説

渓嵐拾葉集 (けいらんしゅうようしゅう)

鎌倉時代末の仏教書。もとは300巻あったと伝えられるが,現存113巻。比叡山西塔北谷の別所黒谷にいた光宗(1276-1350)の著で,1318年(文保2)6月の自序がある。貴族社会を背景に繁栄した顕密の大寺院では,仏事・法会がさかんに催され,その次第を書きとどめた無数の資料が残された。また教理の研修に際して作られた筆録や聞書も,膨大なものであった。本書は,《阿娑縛抄(あさばしよう)》《覚禅抄》と並ぶ,中世の仏教教学集成の代表的な書である。全体は,顕,密,戒,記録,医療,雑記の6門に分けられ,さらに各部門を細分して森羅万象を説明しようとした百科全書的な性格を持っている。その内容は,天台本覚思想から山王神道に及び,その間に収録された寺社縁起,霊験譚の数々は,中世の比叡山の僧侶の幅広い関心を示している。中世の仏教思想,神道思想,民間信仰などを知る上で重要な書である。
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