食の医学館 「温州ミカン」の解説
うんしゅうみかん【温州ミカン】
《栄養と働き》
ふつうミカンといえば、温州(うんしゅう)ミカンをさしますが、原産は東南アジアで、遣唐使が中国の温州から持ち帰ったことから、この名がついたとか。江戸時代には、ミカン船で財をなした紀伊国屋文左衛門(きのくにやぶんざえもん)の逸話も残されるなど、広く普及しました。現在の温州ミカンは、日本で改良された独特のもので日本の特産として知られ、冬の味覚を代表するくだものとなっています。
○栄養成分としての働き
ミカンの特徴はビタミンCが豊富なことで、1日3~4個を食べれば、成人1日の所要量をとることができます。ビタミンCには抗酸化作用のほか、体の免疫機能を高める働きがあり、かぜやインフルエンザの予防にうってつけです。
また、ミカンの色のもとであるβ(ベータ)―クリプトキサンチンにも抗酸化作用があることがわかっています。
さらにミカンに含まれるフラボノイド、テルペノイドなどが、発がん物質の活性化を阻害するばかりでなく、活性化した発がん物質を排出します。ミカンの袋には食物繊維のペクチンが多く、また袋や皮の内側についている白いすじには、ビタミンB・C、フラボノイドが含まれています。フラボノイドは毛細血管を強くして、高血圧や脳出血を防止するので、袋ごと食べれば、便秘(べんぴ)解消、生活習慣病予防になります。
ミカンの酸味であるクエン酸が老廃物を体内に残さないようにするので、疲労回復に有効なのは、いうまでもありません。