日本大百科全書(ニッポニカ) 「満洲里」の意味・わかりやすい解説
満洲里
まんしゅうり / マンチョウリー
中国、内モンゴル自治区北東部、フルンボイル市西端の県級市。別称バルガ。ロシアとの国境近くの草原に位置する。フルンボイル市ジャライノール区を代行管轄する(2016年時点)。人口は周辺の農村や炭鉱を含めて17万2137(2016)。浜洲(ひんしゅう)線の終点で、鉄道はここで軌間を広げて未確定の国境を越え、北北西26キロメートルのザバイカルスクを経てロシア連邦主要部に通じる。市西部には2004年開港の満洲里西郊空港があり、国内線のほか、ロシア・シベリア地方やモンゴルへの国際線もある。国境貿易都市として知られ、税関や貿易・軍事の施設がある。石炭、電力、セメント、化学工業があるほか、ヒツジ、ウマ、ウシとその畜産品、毛皮などを産出する。
1898年、ロシアはこの地に鉄道付属地を租借した。その面積は5716ヘクタール、市街地だけでも114ヘクタールに及び、これを東西5本、南北8本の広大な道路で区画した。鉄道を挟んで北側がザバイカル鉄道関係用地、南側が東清(とうしん)鉄道関係用地で中国人街も南側につくられた。その後、日本とロシアとの軍事対決や、中国とソ連の国交の冷却などに応じて市の歴史も盛衰を繰り返したが、1990年代以降は発展の方向にあり人口も増加している。
[浅井辰郎・編集部 2017年12月12日]