潺湲(読み)センカン

デジタル大辞泉 「潺湲」の意味・読み・例文・類語

せん‐かん〔‐クワン〕【××湲】

[ト・タル][文][形動タリ]
さらさらと水の流れるさま。せんえん
「―と谿水たにみずの音聞ゆるにぞ」〈竜渓経国美談
涙がしきりに流れるさま。せんえん。
「―と咽び泣いているのです」〈谷崎・魔術師〉

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精選版 日本国語大辞典 「潺湲」の意味・読み・例文・類語

せん‐かん ‥クヮン【潺湲】

〘形動タリ〙
① 水が流れるさま。水が清く、さらさらと流れるさま。また、その音を表わす語。さらさら。潺潺。せんえん。
花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉附録「細流幽かに潺湲(センクヮン)の声を送る」 〔楚辞九歌湘夫人
② 涙がしきりに流れるさま。はらはら涙を流すさま。せんえん。〔孔叢子記問
[補注]「湲」には「えん」「かん両様の音があるが、古辞書類には「せんえん」の形しか見えないので、古い用例は「せんえん(潺湲)」に置いた。

せん‐えん ‥ヱン【潺湲】

〘形動タリ〙
懐風藻(751)和藤原大政遊吉野川之作〈大津首〉「潺湲侵石浪、雑沓応琴鱗」
三教指帰(797頃)下「二兄重逝、数行汍瀾、九族倶匱、一心潺湲」

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普及版 字通 「潺湲」の読み・字形・画数・意味

【潺湲】せんかん(くわん)

さらさらと水の流れる音。〔楚辞、九歌、湘夫人〕忽(くわうこつ)としてみ 水の潺湲たるを(せんえん(ゑん)) 涙の流れるさま。〔楚辞、九歌、湘君する涕(なみだ)、潺湲たり 君を隱(いた)み思うて側(ふつしよく)す

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