濡れ衣(読み)ヌレギヌ

デジタル大辞泉 「濡れ衣」の意味・読み・例文・類語

ぬれ‐ぎぬ【×濡れ衣】

濡れた衣服。身に覚えのない罪をいうたとえ。「その疑いは濡れ衣だ」
根拠のないうわさ無実の浮き名。ぬれごろも。
「憎からぬ人ゆゑは、―をだに着まほしがる類もあなればにや」〈紅葉賀
[類語]冤罪無実無実の罪

ぬれ‐ごろも【×濡れ衣】

ぬれぎぬ1」に同じ。
「のがるとも誰か着ざらむ―あめの下にし住まむ限りは」〈大和四四
根も葉もないうわさ。ぬれぎぬ。
「―は、なほ、え干させ給はじ」〈夕霧

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精選版 日本国語大辞典 「濡れ衣」の意味・読み・例文・類語

ぬれ‐ごろも【濡衣】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 濡れた衣服。ぬれぎぬ。
    1. [初出の実例]「あふことなみに ぬれころも ほさでやただに やみぬべき おもひのほかに うつりはてなん」(出典:桂宮丙本忠岑集(10C前))
  3. 無実の罪。無実の浮き名。冤(えん)。ぬれぎぬ。
    1. [初出の実例]「のがるとも誰かきざらむぬれごろもあめのしたにし住まんかぎりは」(出典:大和物語(947‐957頃)四四)
  4. 男女情交。こいごろも。
    1. [初出の実例]「一夜までのなさけをとおしつけわざのぬれ衣(コロモ)」(出典浮世草子世間妾形気(1767)一)

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